館 カレンダー『北国の小さな物語』作品全集
★1999年 5月★
『湖畔の桜』

3月も終わろうとする頃
ぼくは湖の氷が割れて、
氷がひとつ、またひとつときえてゆこうとする情景を
飽きることなく見つめていたことがある。
毎日、毎時間、その形、色彩を変えてゆく氷の湖の変遷。
その氷の湖にひと月の時が流れ、桜の花が咲く。
水ぬるむ頃、春の陽気はなんとやさしさにみちているのだろう。