館 カレンダー『北国の小さな物語』作品全集
★2002年 2月
『たゆまぬ流れ』

冬の森の中に入ると
何もかもが呼吸をやめて
まるで時間が静止したかのようだ。
しかし、その静寂を破るものは
小鳥の声と、微かな風と、落雪と
そして、たゆまぬ水の生動だろう。
多雪地帯では、積雪の底近くでは
絶えず雪は解けて水に変わり
それが川を満たすのだという。
冬の森深くに入りて、水の流れを見る。
冬の森に一人いて、鳴りやまぬ水の音を聴く。