一年が終わろうとする頃 ここ大沼、小沼には遠く北の国から白鳥が訪れ、冬を越す。 川などが流れ込み、湖面を覆う氷が融けたところが 彼等の餌場であり、すみかとなる。 ここ小沼は浅く深く切れ込み、小さな川が幾本も流れ込むため 低層湿原のようにヨシやスゲが生え、白鳥たち水鳥たちの格好の隠れ家になる。 旅を生業とするものが 最も欲しているものは、 実は一番安心できる隠れ家ではないのか。 そして、心と心が重なる者たちとの 合唱ではないのだろうか。