館 カレンダー『北国の小さな物語』作品全集
★2003年 12月
『合 唱』

一年が終わろうとする頃
ここ大沼、小沼には遠く北の国から白鳥が訪れ、冬を越す。
川などが流れ込み、湖面を覆う氷が融けたところが
彼等の餌場であり、すみかとなる。
ここ小沼は浅く深く切れ込み、小さな川が幾本も流れ込むため
低層湿原のようにヨシやスゲが生え、白鳥たち水鳥たちの格好の隠れ家になる。
旅を生業とするものが
最も欲しているものは、
実は一番安心できる隠れ家ではないのか。
そして、心と心が重なる者たちとの
合唱ではないのだろうか。