長い雨がようやくやみ 雲が山肌のかなたに退けば、久しぶりの日が差し込んでくる。 すると 長い間鉛色に沈んでいた森や湖は 長いこと忘れていた、豊かな階調を見せ始める。 森は緑を濃くし、湖は紺碧の水をたたえ、樹木の葉からは陽光があふれ出る。 むせかえるように停滞していた回りの空気は 湖から吹いてくるさわやかな空気に入れ代わり 呼気も、さわやかに繰り返される。 北海道大雪山国立公園、然別湖でむかえたある夏の印象である。