館 カレンダー『北国の小さな物語』作品全集
★2005年 5
『 緑の大木 』

草原に立つは一本のブナの木。
5月の風に大きく膨らんで、青空に映え、鳥は憩い、
大粒の緑の光が葉影からほとばしり散る。
野に咲く花は緑の滴を飲み、風は草原に緑の歌声を運ぶ。
すると、生きる者みなブナの木の下に集い、
緑色の服に身を包んだブナの精霊たちと親しげな挨拶を交わす。
「春が来たね。春が来たんだね。春の訪れに乾杯!」
こうして溢れんばかりの緑の喝采が草原に響き渡っていく。