草原に立つは一本のブナの木。 5月の風に大きく膨らんで、青空に映え、鳥は憩い、 大粒の緑の光が葉影からほとばしり散る。 野に咲く花は緑の滴を飲み、風は草原に緑の歌声を運ぶ。 すると、生きる者みなブナの木の下に集い、 緑色の服に身を包んだブナの精霊たちと親しげな挨拶を交わす。 「春が来たね。春が来たんだね。春の訪れに乾杯!」 こうして溢れんばかりの緑の喝采が草原に響き渡っていく。