館 カレンダー『北国の小さな物語』
★1999年 4月★
『春の光を浴びて』

函館郊外の森の中に
誰も知らない小さな秘密の牧場があります。
そこには小川がひとつ流れていて
小川のほとりには夢のように美しいお花畑が広がっています。
小川ではキラキラ、キラキラと、光の精たちが春の訪れに接吻し
お魚たちもすいすい気持ち良さそうに泳いでいます。
もう春なんですね。春の光はなんて気持ちが良いのでしょう。

[すみれ]─ゲーテの詩から─
「知る人もなくうなだれて牧場に咲いたすみれひともと─、真実(まこと)ひそめたすみれひともと。羊飼う娘がそこへ来る、足取り軽く気も軽く牧場の道を歌いつつ。「ああ」とすみれは思うよう、「わたしが春の一番きれいな花ならば、ほんのしばしのときなりと。ああ、あの人の手に摘まれ胸に抱かれてあるならば。ほんのほんのひとときなりと」ああ、けれど娘は気も止めず、通り過ぎゆくその足に踏みにじられたあわれなすみれ。すみれはうち伏し、息絶えつつも心嬉しく、「死ぬるも喜び、あの人の足に踏まれて、その足もとにその足もとに、死ぬるこの身は」