館 カレンダー『北国の小さな物語』
★2000年 3月
『春の予感』

この作品は函館近郊にある大沼という沼の姿。
長い冬の終わり頃
あれほど厚かった沼の氷が
流れ込む川のぬくもりによって溶かされようとしている。
そしてこの後どうなるのかと想って
毎日通って沼の氷が溶けゆく姿を観察してみると
なんと時間単位で沼の氷はその姿を変えていく。
氷たちは溶けた水の流れと春風に押され
軽快な音をたてながら動き,そしていつのまにか消えていった。

【流 氷】
北海道のオホ−ツク海沿岸の海は毎年1月〜3月の間流氷におおわれます。この流氷はオホ−ツク海の北の地方,シャンタルスキ−湾で11月頃生まれ,東カラフト海流と北西の季節風に乗って,赤ちゃんがはって進む程の速さで約1000Hの道のりを2ケ月かけて北海道沿岸にやってくるのです。ではなぜオホ−ツク海の海の水が凍りやすく流氷になりやすいかといいますと,アム−ル川という大きな川からたくさんの真水がオホ−ツク海に注ぎ,本来3.5%ある海水が3.2%の濃度に薄められているからなのです。そして流氷は一冬でオホ−ツク海全体の80%をおおい尽くし,海は見渡す限りの白い氷野になるといいます。また,北緯44゜にある北海道のオホ−ツク海沿岸は,世界中の流氷の見られる海の中で最も南に位置していて,緯度のわりにオホ−ツク海が冷たい海であることが分かります。