館 カレンダー『北国の小さな物語』
★2000年 6
『すずらん清楚』

かつて函館の郊外に
スズランの花が咲き乱れるところがあって
そこはいつの頃からか
スズラン山と呼ばれるようになっったと聞く。
足の踏み場もないほどの
そこは野生のスズランの花園で
その強い香りに酔いそうになったに違いない。
これは今となっては伝説のことなのだろうか
それとも,今もどこかに本当にそんな花園が広がっているのだろうか

【カッコウ】
北国でカッコウの声が響き始めると初夏の訪れを感じます。その声は しっとりとした初夏の静寂の世界を淡々と歌いあげるかのようです。  函館の街を見おろす小さな丘のうえに二本の樹が寄り添っているところがあるのですが,そこへ行くときまってカッコウが憩っていて,樹の中から,カッコウ〜♪♪カッコウ♪♪と聴こえるものですから,まるで樹が歌っているように聴こえるのです。まるで時の流れが止まってしまったかのような静けさの中では,ときどき吹いてくる風に揺られる木々の葉のざわめきとカッコウの鳴き声だけが聞こえてくるのです。