館 カレンダー『北国の小さな物語』
★2000年 8
『夏の銀河』

 この作品は銀河系の中心方向にある射手座の天の川をとらえたものです。
射手座は南に低く,北国ではなかなかとらえにくい夜空の領域です。しかも,夜の南空に光害のないところでないと銀河(天の川)の淡い光は消えてしまうのでたいへんです。
 ぼくはこれを撮影するのに道北,天塩山地の北側を選びました。夜空もさることながら,手塩川の手つかずな雄大な流れや緑の草原を流れゆく天塩川の支流の美しさ、そして人の気配を欠いた原生の丘陵地帯のつづくその姿にも心うたれました。
 いつまでも風に吹かれていたくなるようなそんな美しい世界がどこまでも広がっていました。そこで過ごした素敵な夏の思い出と共にこの作品を贈りたいと想います。

【夜 光】
夜光は,大気光と星夜光と黄道光が集まったもので人工の光(光害)のない世界に行くと,このかすかな夜の光を感じることができます。大気光というのは地球を包む空気の発光のことですが,星夜光はいわゆる星明かりのことで,目には見えないような小さな星の光のことです。また,黄道光は太陽の光の夜の世界への影響とでもいいましょうか,春の宵と,秋の夜明け前に見やすくなります。
 いつか夜遊びだといって,子供たちや恋人たちがお母さんに『黄道光が今夜よく見えるから,見に行ってくるね』というようなときが来たらいいですね。そして二人で,夜空を見上げながらギリシャ神話の世界に想いをはせるなんていいものですね。