館 カレンダー『北国の小さな物語』
★2001年 裏表紙
風の音

人は何を伝えるために生まれてくるのだろうか?
………
今年生まれたばかりのブナの木の葉が
風が吹くたびに
いっせいになびき
気持ちのいい風を伝える。
やがて夏が来ればブナの葉は大きくふさふさと茂り
暑い日差しをさえぎる優しい木陰をつくろう。
秋には葉をオレンジに染め
燃ゆる季節の中でみなに感傷の歌を奏でよう。
冬が来れば舞いゆきて
大地をうるおす力のひとつになろう。
ああ、木の葉よ。
ブナの木の葉よ。
私は何になろう、何を伝えよう。
この命、この胸の中で高鳴る炎を
何に変えよう。