館 カレンダー『北国の小さな物語』
★2002年 4月
『春の祝福』

丘のうえの小さな写真館から北へ10kmのところに
大沼、小沼、そしてじゅんさい沼という沼がある。
沼のぐるりはどこも小さな湿原になっていて
春になると、いろいろと花が咲く。
この作品は小沼湖畔の小さな湿原のもので
イチリンソウの中、所々水芭蕉が咲く、そんな小さな花園だ。
国道沿いにあるので誰しもが一度は見たことがあるだろうが
誰も入っていこうとはしない。
遠くから眺めるだけで心から満足しているのだろう。
そんな人の心には小さくても大きくても
秘密の花園があるのだろう。
そこは、誰でもが踏み込めない心の聖域なのだ。

【湿 原】
北海道にはたくさんの湿原があります。その数150個、総面積約6万ィ、北海道全土の0.75%にあたる広さです。湿原はヨシやスゲなど水棲植物に覆われていますが、それらは水中に酸素がないために枯れても分解せず、水の中にたまっていきます。分解しないということは、土にならないということで湿原では土壌ができません。だから、湿原の表面はぶよぶよしています。
 湿原には低層湿原、高層湿原、その中間の中間湿原があります。これは標高の違いからの区別ではなくて、ヨシやスゲが枯れて水中にたまっていく時、水面下でたまるものを低層湿原で水面上でたまるものを高層湿原としているのです。どの湿原も、動物や魚、鳥たちにとっては大切な所で、ある人たちには無価値かもしれませんが、人の心を休めるには大切な大切な所です。