館の歩み
写真展
2005年 2/22〜27 札幌サンピアザ光の広場にて
自由を失い、今日を失い、そしてついに未来が見えなくなる。

僕が探していた幸せはどこに行ったしまったのだろう。

食べることに困っているわけではなく

着るものに困っているわけでもない。

それなのに僕は冬を越えるたびに、僕は自分を損ない、自分を失っていく。

流す涙もなく、枯渇した心に何がわき出ようか?

ああ、僕は一人黙って、冬を耐える歌を歌う。

さまよえる冬の暗闇の中

僕の唯一の心の支えはあの暖かだったお日様の光の世界だけ。

ぽかぽか暖かかった、日溜まりの風景。

生きることはぬくもり。日だまりの中にあること。

それだけのことが言いたくて、ここに写真展を開催する。

 ★いざ写真展会場へ★ 2005年2月21日
 いつも、写真展に行くときは、御覧のように丘のうえの小さな写真館号満載である。これでも、以前のパジェロよりもずっと積載能力は高くなって、たくさんの写真展用の額やポストカード類を運べるようになった。
 
 この冬は、カレンダー制作が長びき、撮影どころか丘のうえの小さな写真館内から一歩も外に出れない状態の冬が続いていて、されにその上写真展開催という重い仕事が重なって、僕たちの精神力は限界ギリギリのところにたたされていた。
 おまけに、この写真展では初めての白黒プリントを展示するという重荷もあり、もはや僕たちには一秒の時間の余裕もなかった。
 慣れない、狭い暗室作業は僕に苦しみと悲しみを与え、たった半切プリント8枚と全紙プリント4枚を焼くだけで、20数時間の時間がかかった。
 暗室から出てきたときには、夜はとっくに明けており、僕の鼻からは鼻血が出て、止まらなかった。
 写真展前日の準備風景。夕方に札幌に入り、サンピアザの営業が終わってから準備にかかる。場所は、サンピアザの中心に位置する光の広場。
 
 広大な場所で、他のイベントを行う人たちは、大勢でうやってきて、アッという間に設営をすましてしまうのだが、僕たちは二人での設営となるので、いつもいつも、夜中の3時過ぎまでかかって、やっと展示を終える。
 
 その後、会場近くの公園の駐車場に車を止めて、その中で眠る。むろん、一週間の売り上げでは宿泊代は出ないので、毎日車の中で寝るのが恒例である。  
 その甲斐あって、写真展がこうして開催される。
 初めて白黒プリントを展示する。全紙を3枚。半切を6枚の展示である。プリントするのにも時間がかかって苦労をしたが、それ以前に、印画紙が北海道内になくて、本当に苦労させられた。
 信じられないことだろうが、たかが白黒の印画紙1つ北海道内にないのが現実である。特に丘のうえの小さな写真館のある函館には、白黒用品&印画紙は皆無と言っていいだろう。
 白黒の評判がどうだったのかは、定かではないが、自分としては、初めてのプリント展示としては上出来だと感じた。しかし、枚数の少なさもあるのだけれど、テーマがあいまいであり、今後は白黒だけの写真展などを開催できるようになることは大きな目標といえる。
 写真展『冬を耐える歌』あとがきより
寒い冬の日々が続いている。

今だお日様の光は微かであり、春はまだ遠い。

今年もまた、僕は日常の仕事にとらわれて

義務の軌道上をひたむきに歩いている。

このことを幸福だと思う時もたまにあるのだけれど

その幸福になぜか満たされないのはどうしてだろう。

冬の沈滞は僕の理想に燃えた炎を吹き消し

偽の幸福と真の幸福をすり替えて

僕の前にちらつかせるのだ。

そのことが悪魔の仕業なのだと、僕は誰よりも知っている。

それなのに、どうすることもできないでいる。

…………………

では、真の幸福はどこにあるのか?

それはお日様のぬくもりが満ちる日溜まりの中にある。

幸福は日溜まりの中にある。

お日様の光はどんな小さな花一輪にまでも届いて

平等に、やさしい幸福なぬくもりを贈る。

しかし、僕は働けば働くほど日溜まりから遠ざかり

体力も、精神も萎え衰えてしまって

この心からはもうどんな小さな夢もわき出すことはない。

しかし、季節の暗闇の中に生きる僕が求めるのは

ただ、日溜まりの中で生きること。

日溜まりこそただ一つの生きる希望!

…………………

僕はこの希望があることをお話したいためだけに

この作品展を開いたと言えます。

さあ、みなさん

巡る季節の中、お日様の光をしっかりと浴びましょう!

そうすれば、

しっかりとお日様の光は心の奥深くに蓄えられて

寒い冬でもどこからともなくぽかぽかした気持ちが湧いてきて

冬を越える愛と勇気の炎を灯してくれるのだと思うのです。

 期間中、地域のFM放送局に出演をさせていただき、上の文章をアナウンサーに朗読してもらった。
彼女の声は美しく、今もなお彼女の声が耳に残供し、すばらしいが切ない思い出として僕の心に残っている。