丘の応援団
●福 原 啓 子
函館立待岬に女ひとり立ちて、小さな昔ながらの土産店を守り抜く。
人の数だけ人生があり、人一人にも多くの生き方がある。その分岐点にありて、人は自分の人生を決断し、判断して、新しい路を歩いていく。
 福原啓子さん。函館を愛し、函館立待岬にて小さな昔ながらの土産店、立待岬物語を経営する。彼女を想うとき人は自分の人生を深く考察し、また、未来に勇気を持つことを決断する。それほどまでに、福原啓子その人の人生からは生き生きとした人生の香りが漂ってくる。
 立待岬物語を訪れ、福原さんの心に触れた人は、再び函館を訪れたとき、ここに寄っていく。そして、立待岬物語という小さな店がそこにあって、そこに福原啓子という女性がが元気に生きていることを知ってほっとするのだろう。近隣のつきあいが減って、人間関係が希薄になってさめてしまったような人が多い現在にあって、旅という非日常の中での新しい出会いはさめた心をもう一度暖めなおしてくれるだろう。忘れかけていた心の高鳴り、人生の豊かさに打ち震えることができるようになるだろう。
福原さんを尋ねる人には色々な人がい るが、特に印象深いのは若い女性の一人旅の人が多いということだ。函館を愛して、何度かこの街を旅するようになると、彼女たちはなぜか福原さんと出会い、その後函館を訪れる度に福原さんの所にやってくる。そんな彼女たちにとって福原さんはどういう存在なのだろうか?ぼくには想像できないが少なくともそこに福原さんが元気でいてくれること、そして、そんな彼女に会うことで元気になれるのだろうと想う。見知らぬ土地で心の通い合う知り合いの人がいるということは、心強いばかりではなく、人生そのものが豊かな想いで満たされる。そしてまた福原さんその人も遠くから自分を尋ねてくれる人がいることを誇りに思っている。その出会いの一つ一つが彼女の宝物であり、出会いを記録した写真を壁中に貼ってある。何と美しい人生の交錯だろう。福原さん本人も函館に生まれ函館に育った人ではない。その昔函館を旅したとき、この立待岬に感動し、ここに脚を止めた。そして今度はこの地で、かつての自分と同じ若い旅人を迎えている。日本の観光がツアーを組んで大股で歩いていくその側で、福原さんと同じ心を持った若い旅人が今もいる。若い心、年老いた心そのいずれにも旅は必要なのだ。そして、それが脈々と続いていく。そんな旅の分岐点に福原さんがいる。なんと大きな存在なのだろう。