撮影機材
撮影の主軸となる理想のズームレンズを求めて

AF-Sニッコール28-70mmf2.8ED」から「バリオエルマーR28-70mmf3.5-4.5」
 バリオエルマーR28-70mmf3.5-4.5

ズームレンズはその焦点距離が連続的なので
一秒でも早く撮影体制に入りたいときには

画質云々をいうことよりも、写ってなんぼ、という考えから
撮影にズームを使う機会が多くなります。
そのため望まなくとも
使う機会が多くなるので、少しくらい高価でも
標準ズームレンズには少しでも高い描写性能を求めてしまいます。

そういう理由から買ったニコンのAF-Sニッコール28-70mmf2.8EDでしたが
大雪山の撮影で、あまり良い結果が出せず
このレンズへの失望から僕はR型ライカへと歩を進めることになりました。

そこでライカでもこれに変わるズームレンズをまず初めに探し求め

ひとまずR型ライカのレンズの中でも格安のズームレンズだった
バリオエルマーR28-70mmf3.5-4.5を試してみることにしたのです。
このレンズは定価でも17万円程度のレンズだったので、大丈夫なのかなあ?と心配しましたが
金銭的な面からも買い求めやすく
またライカの製造したレンズなのだから、いいかもしれないと思い、買って試験的に使ってみました。

この時比較したのがニコンのAFSニッコール28-70mmEDという
我が運命を決したニコンのズームレンズと
ライカM型のエルマーM50mmf2.8の3本でした。
テストは丘のうえの小さな写真館の庭で、あらゆる場面を想定してフィルム撮影で行いました。

その結果ですが、
バリオエルマーR28-70mmf3.5-4.5はどんな条件の撮影でも
AFSニッコール28-70mmEDに勝っている点を見出すことができませんでした。

余談ながらこの時エルマーM50mmの滲んだような暖かな描写が最も良かったと記憶しています。

こうしてライカレンズを試す最初の試験で
いきなり絶望の淵に落ちた僕は、いきなり路頭に迷います。
なぜなら、この頃手に入りやすさから入って、
ライカのズームレンズだと
このバリオエルマーR28-70mmf3.5-4.5と
バリオエルマーR35-70mmf3.5くらいだったのですから。
こうしていくらライカといえども
安いレンズはそれなりの描写力しかないなあ〜という
至極当たり前の結論が出てしまったわけです。

R6.2にバリオエルマーR28-70mmf3.5-4.5
を装着したところ


見た目はとても理想的だったんですが
撮影の主軸になるズームを考える場合
かなり役不足に感じました。
AFSニッコール28-70mmf2.8ED

このレンズへの不信感から
ライカへ変わっていこうとしましたが
バリオエルマーR28-70mmf3.5-4.5を試してみると
ニッコールの方が断然良く写りました。
バリオエルマーR35-70mmf3.5へ
バリオエルマーR35-70mmf3.5

バリオエルマーR28-70mmf3.5-4.5に絶望した僕は
次は色々と調べて
バリオエルマーR35-70mmf3.5を試験してみることにしました。

このレンズ他のレンズを持って
冬の北海道道南の風景の中に出ていった僕が
まず初めに気づいたことは
このレンズの光の透過力の低さでした。
たまたまその頃はR型ライカカメラの内蔵露出計を信じていませんでしたので
絶対の信頼をおいていた外部露出計で測光しながら撮影していました。

すると、どうもこのレンズで撮影したものだけが
アンダー(暗く)に写ってくるのです。
変だなあ〜と思って、調べたところ、やはり露出計の差す値が他のレンズよりも低く出るのです。

僕はこの時、ズームレンズが単焦点レンズに比べ
目に見えるほどの量で光の透過力が少なくなることを知ったのです。

しかしこの後、カメラ内蔵の露出計を見ながらバリオエルマーR35-70mmf3.5で
写したフィルムを見ていくと
このバリオエルマーR35-70mmf3.5の描写力は
そんなに悪いものではありませんでした。

光の透過量が少ないからといって
コントラストが悪いわけでもなく、色が出ないということもありませんでした。
こういった点はさすがライカレンズだと思います。

しかし、ある時ズミルックスR35mmf1.4と白黒の撮影で試験的に比較を試みることがあり
この時、ズミルックスR35mmf1.4との比較において
解像力の無さを思い知らされることになります。


一般的に、解像力の高さのみがレンズの良し悪しではないと言われますが、
白黒写真では解像力もまた悪いよりは良い方がパット見た印象も冴える結果が出るようです。

こうして単焦点の、しかもズミルックスR35mmf1.4という
高解像力なレンズとしかも単色の白黒撮影でその解像力を比較してしまった僕は
またしても、頭を抱えてしまいます。

理想から言えば、もう少しだけでも解像力のある標準ズームがほしかったのです。
バリオエルマリートR28-90mmf2.8-4.5ASPH.
そこで、次に考えたのがバリオエルマリートR28-90mmf2.8-4.5ASPH.でしたが、
このレンズは中古ではほとんどなく新品で買わなくてはいけなくて
相当苦労してやっとのことで購入しました。

このレンズにもし満足できなかったら、本当に困ったことになります。
そこで、試験的に撮影するべきなのでしょうが、
この時にはその時間的な余裕がなく
函館の本番の撮影で使用していく中で、このレンズの良し悪しを判断していくことになりました。

そう言った中から分かってきたことは
今までのズームレンズ群よりは自分の理想に近いということでした。
しかし、どういうわけかニコンのフィルムスキャナにより
高解像で、すなわち4000dpiつまりは、2000万画素ほどで
このレンズで撮影したフィルムをスキャンニングして見るんですが、

なぜかいい結果が出ません。
少しぼけている感じが拭いきれないのです。

このスキャンニングにはガラスでフィルムの歪みなどを矯正していませんので
スキャン時の問題かレンズの問題か実はまだ結論が出ていません。

でもフィルムをルーペで見る感じでは
多少階調は少なく、解像力も少ないですが
それでも懸命に収差補正した感じが見て取れて
僕はこのレンズの写りが嫌ではなかったのです。

何はともあれこのレンズの描写で魅力でああるのが
コントラストの高さによる光り輝く感じでした。
しかし、一般にR型ライカのレンズの特徴でしょうが
明暗差のある被写体を撮ろうとするとき
シャドーとハイライトを両立して写せない。
特にこのことがこのレンズの辛いところでした。

このことで次の作例写真を見て下さい。
バリオエルマリートR28-90mmf2.8-4.5ASPH.で写した函館の朝日

上の写真を見ていただきたいのですが、
この写真では空と函館の街ではかなり明暗差がありますね。
こういった風景で、露出を決定する際、
空の階調が義ギリギリ失われないようにできるだけ露出を少なくしたいですが、
そうすると、函館の街の方はそれだけ暗くなってしまいます。

こうした矛盾をできるだけ緩和するためには
シャドー部の落ちないレンズを使うことが理想だと思いますが、
残念なことにバリオエルマリートR28-90mmf2.8-4.5ASPH.は
シャドー部がほとんど出てきません。

このことは、慶ちゃんのM型ライカのレンズで同時に撮影したフィルムを見て
はっきりわかりました。
こんな明暗差のある被写体では
M型ライカの単焦点レンズは明暗の差を縮め、
どこも捨てることなく絹のように滑らかに再現してきます。

こうしたところを見ると、M型ライカに嫉妬してしまいますが
よく考えればズームレンズとM型ライカの単焦点を比較したら可哀相だと思います。
こうしてシャドー部が出せないこのレンズは
他にもゴーストが出やすいなどの欠点を抱えていたり
スキャナでの取り込み結果に不信感があるなど
問題はあるものの、全体の印象はまずまずだと思っているところです。

すなわち、明らかに
AF-Sニッコール28-70mmf2.8EDなどと比べ
その描写は
明快です!

コントラストが高く、抜けがよい。
つまりは、スカッとした写りをするわけです。

また望遠側のシャープネスは
明らかにAF-Sニッコール28-70mmf2.8EDのそれを上回っていることも分かっていて
それも有り難いことです。

ただ、他のR型ライカレンズやM型単焦点レンズと比較するべきではなさそうです。

ズームレンズの描写力
こうして見てきますと、
ズームレンズは明らかに単焦点レンズにその描写力は劣るようです。

そしてそれは解像力や階調もそうですが、
背景を綺麗にぼかせないことなどもズームの魅力を失わせます。

ただ、背景のぼけに関しては
ライカもできるだけ綺麗にぼけるように普通より多くの絞り羽を用いて
できるだけ真円に近くなるように努力しています。
こういうところでもライカは手抜きをしませんね。

ただ、いくら画質が全体に落ちようとも
とてもレンズ交換などできないような状況がある限り
例えば沼地などで、無数のブヨが襲いかかってくるときなどに
一瞬差し込んできた光が消えないうちに撮るようなときに

ズームレンズはやはり必要なのだと思います。