丘のうえの小さな写真館 写真館通信の世界
★反射望遠鏡について
地に足をつけた根本に立ち返った生き方を考える時、
よく考えるのが、この反射望遠鏡のことです。
望遠鏡という文字を見ていただけるとよくわかるのですが最後に「鏡」
と書いてあります。
レンズではなくてこの鏡を使って宇宙を観る望遠鏡が反射望遠鏡です。
 
実はこの鏡を自分で研磨して星が見えるようにすることができるのです。
お金を出せば、望遠鏡はたちまち買えるのですが、
少し古いものなら望遠鏡はただみたいな値段になります。
こんな経済的性質にふりまわされるのではなくて、
宇宙の奥を自分で磨いた鏡で観ようとするところに
人の根本的な姿があるように思えるのです。
自分の磨いた鏡で200万光年かそれ以上遠くの世界が見通せるということは、
いったいどれくらい感激できることなのでしょうか?
ぼくはまだ、鏡磨きをしたことがありませんので、
何とも言えませんが、いつかきっとこの根本的なことをやってみたいと思うのです。
そして抜けるように真っ暗な夜空の下に持っていって、
秘かに宇宙をのぞいてみたい。
そんなことを考えます。
ではまず、望遠鏡についての基礎的なことから見ていきましょう。

■反射望遠鏡と屈折望遠鏡がある

 左の図のように望遠鏡には屈折望遠鏡と反射望遠鏡の二種類の望遠鏡があります。
この他にもあるのですが、この二つがまず基本になります。

■反射と屈折どう違うのか

望遠鏡を買うとき、反射を買うのか屈折にするのか大変悩みます。
違うところは大きく見ると、レンズを使うのか鏡を使うのかです。
これは最終的には好みの問題になります。
とはいえ、次に特徴を書いてみます。
 望遠鏡の性能は口径できまります。
口径というのは屈折の場合レンズの直径、反射の場合、鏡の直径です。
だから、望遠鏡を一般的に表現する場合、
例えば「15cm反射」だとか「10cm屈折」という言い方をします。
このcmの数字はレンズや鏡の直径を表していているわけです。
この口径で何が決まるかというと、まず、分解能、集光力極限等級が決まります。

■分解能

これが一番大切な性能です。
遠くにある二つの接近した点を
ちゃんと二つに見分けることができるかどうか、という能力です。
左の図で5Bと15Bの分解能を比較していますが、
5Bではこれ以上引っ付いた二つの点を見分けることができず、
一点にしか見えないのです。
これは実際には月などを見るとき
口径が大きいほど小さなクレーターまで見えたりする性能のことで分解能が大きいと、
像が鮮明にくっきりと見えるわけです。
また、望遠鏡の倍率というのは、
目の所につける接眼レンズの組み合わせで自由に変えられるわけで、
高倍率にしていったとき、
この分解能があると像があまりぼけないし、
像を明るく見ることができるのです。
つまり、倍率は口径の大きさで決まるわけです。
その他集光力は暗くて淡い星雲を見るときに大切な能力ですが、
実際には本当に空の暗いところに行かないとこんな大きな違いは実感できません。
 
次に、反射と屈折の話しですが、
ごく一般に同じ大きさの口径では、
屈折の方が値段が高くなります。
よく普及しているビクセンというメーカーで比較してみます。
左の表のようになるわけですが、
口径に対して、あまりの違いにびっくりされると思います。
13cmを比較してみると、よく分かりますね。
4倍とか8倍とかしてますよね。
この傾向は口径がもっと大きくなるともっと顕著で、
ビクセンは造っていない15cm屈折になると、
高橋製作所で安い方で98万円高い方で218万円もします。
反射の方がずっとお買い得というわけです。
 
では、どうして屈折はこんなに高いのか?
しかも、値段の違うのが何種類もあるのか?とお思いになるでしょう。  
これはレンズが鏡に対して高くついてしまうからです。
そして、同じ屈折の中の値段の差は色収差の差なのです。
色収差というのは、
レンズを通った光がプリズムの中を通った光のように七色に分かれてしまう性質のことで、
例えば月を見ると、周囲に青や黄色の色がついて見えるのです。
また、色収差があると、像を鮮明に見ることができないので、
何とかしてこの色収差を取り除きたいわけです。
このために高級なレンズを用いなければならず、
高い物についてしまうのです。
反射にはこの色収差がありませんから、
視野中央では実にキリリとした像を結びます。
だとすると、反射でいいじゃないかということになるわけです。
しかし、メンテナンスが難しいのと、視野が狭いという欠点があります。
だけど、写真を撮ることと、好みを抜かせば断然反射の方がお奨めということになります。
写真を撮るとなると、屈折の広大なイメージサークルと、
ピントの合う範囲の広さは何にも変えがたくなるわけです。
だから、安く目で見て楽しむには反射、
写真を撮るとなると、屈折を、ということになります。
ぼくなどは、反射も好きなのに、屈折ばかり使っているから、
反射も欲しくてしょうがないわけです。
そして、反射なら鏡を手で磨けるというロマンもあるからすごく楽しい。
いつか自分で磨いた鏡で、アンドロメダ星雲を見てみたいです。
こんな星空を巡るメルヘン、みなさんご存知でしたか?