写真館通信の世界
★春の星空★
寒い冬が終わり、地上ではもうそこまで春がやってくる頃、夜空にも春の星座と呼ばれる星座たちが現れ始めます。その中で特に目につく星と言えばうしかい座のアルクトウルスとおとめ座のスピカでしょう。もう今でも、この二つの星は仲良く並んで、東の空に見えています。ぼくはこのアルクトウルスとスピカが東の空に見え始めるとなんだか懐かしい思いがしてきて、またこの季節が来たんだなあ、と思ったりします。
 この二つの星がもし見つからないなら、まず、北斗七星を見つけます。そして、そのひしゃくの柄のゆるやかなカーブをそのまま延ばしていきます。
すると、その先に赤い大きな星が輝いているのがわかります。これがうしかい座の一等星アルクトウルスで、その星からさらにこの曲線を延ばしていくと、そこには真っ白い輝きのおとめ座のスピカが輝いています。さらにこの曲線の先を延ばしていくと、カラス座のδ星、γ星に届きます。この北斗七星の柄からカラス座までの曲線が春の大曲線と呼ばれるものです。また、このアルクトウルスとスピカ、しし座のしっぽのところで輝くデネボラという2等星とでできる正三角形が春の大三角形で、一辺35度くらいの正三角形になっています。さらにこの春の大三角に猟犬座のα星、コール・カロリを加えると、春のダイヤモンドになります。さてこの時、もしこれらの星々の距離感がつかめないとき、後で示す体の物差しなどで、計ってみて下さい。そんなことができるようになると、夜空がぐ〜んと近くにやってきますよ。
 さて、春になると天の川が夜空のどこにも見られなくなります。そして、にぎやかだった冬の夜空の後だけに、どことなく寂しげな空に見えたりするかと思います。これはどうしてかと言いますと、実は銀河の北極(天の川から一番離れたところ)が春の大三角のすぐ北、髪の毛座の中にあるためで、銀河系の星が一番ちょっとしか見えなくなっているからです。逆に言えば、この髪の毛座あたりの銀河の北極付近は、銀河系の星にじゃまされることなく、銀河系の遥か彼方まで見通すことができる領域でもあるわけです。そのため、この付近を「宇宙ののぞき窓」ということがあります。つまり、髪の毛座付近、猟犬座や乙女座あたりの銀河系の窓辺からは銀河の遥か彼方の宇宙を見通すことができて、無数の銀河(宇宙)が浮かんでいる様子が見られるのです。
 だから、春には銀河系内にある派手な星こそ少ししか見ることができませんが、望遠鏡を使うと、銀河の彼方に浮かんだ遠くの別の銀河、つまり無数の宇宙と出会えるのです。
 で、春以外の季節はというと天の川や銀河の星が邪魔をして銀河の外が見えにくくなっています。そのため、春のように遠くの宇宙たちと出会うことはできなくなりますが、その代わり楽しい銀河系の旅ができるわけです。
 では、春、天の川はいったいどこにいったのでしょうか?消えたわけではないのですよ。日本から見えないだけで、南半球に行くとちゃんと見ることができます。かの有名な南十字星などはこの春の天の川の中で輝いているのです。ただ、日本が春なら南半球は秋だから、正確には春の天の川?というのはおかしいと思いますがこれって何て言えばいいのでしょうかねえ。
 つまり、この季節、日本など北半球からは我々銀河系の彼方が望め、南半球に行くと、日本では決して見ることができない、春の天の川?を見ることができるのです。
 望遠鏡を持っていない人なら、断然南半球の天の川の方がきれいでしょうが、聞くところによると、南半球のニュージーランドあたりに行くと、天の川の明かりで自分の影ができるほど天の川って明るいと聞きます。すごいですねえ。星明かりを受けて日焼けしちゃった何てね。そんなことを空想する季節がやってきております。