写真館通信の世界
★赤道儀と極軸望遠鏡
前回の通信では反射望遠鏡と屈折望遠鏡の話をしましたので。今号では望遠鏡をのせる架台である、赤道儀の話をしたいと思います。
「地球は回転しています」このことは一般に忘れ去られる傾向にあります。しかし、ひとたび望遠鏡で星をのぞいてみると、ああ、地球は回ってるなあという発見をします。
 で、この回転の中心になるのが北極星だと学校で教えてもらったと思います。北極星の高度はその土地の緯度と同じで、函館なら42度、沖縄なら25度くらいで北に行く程、北極星は北の空高くに輝くことになります。北極星はこぐま座α星(一番明るい星)でしっぽの先端の星です。こぐま座は北斗七星を小さくしたような星座で、ちょっと空の暗い所に行くとよく分かります。このこぐま座のα、北極星を中心に地球は西から東に1時間に十五度二十四時間で三百六十度回転します。この回転座標を地球の東経西経にちなんで赤経と呼び、この赤経に直角に交わる線を赤緯と呼んでいます。まあ、地上の経度、緯度と理屈は同じです。この赤経、赤緯というのは星の番地みたいなものだと思って下さい。で、赤道儀の仕事ですが、時間と共に北極星を中心に赤経に沿って地球が回転しますね。つま    り、夜空が動いていくので、これを追いかけて行かないとすぐに星が見えなくなってしまいます。この星を追いかけるのが赤道儀の仕事なのです。
右の赤道儀の写真を見ていただけるといいのですが、赤道儀は写真のように赤経方向と赤緯方向に回転するようになっています。この中で大切なのは赤経方向の回転でこの回転で星の動きを追尾します。また、外からは見えませんが赤経軸に沿って極軸望遠鏡という小さな望遠鏡が入っています。この望遠鏡を北極星に向けて赤経方向の回転の中心に、北極星を置くわけです。
 ここでちょっと厄介なのが、実のところ北極星が真の北極(本当の地球回転の中心)からわずかにずれているということです。そこで、威力を発揮するのが極軸望遠鏡なわけです。極軸望遠鏡には目盛りの入ったスケールが描いてあって、これをその時の時刻に合わせてやることで北極星が真の北極からどのくらいずれているか、知ることができるのです。こうやって極軸望遠鏡を使って正確に真の北極にこの軸を向けることがまず大切なのです。この極軸合わせができるようになればもうしめたもので、後は赤経についているモータードライブという自動追尾装置に任せれば自動的に星を追いかけてくれるわけです。ただ、写真を写すとなると、そう簡単にはいきません。今度は赤道儀の赤経軸の出来不出来がものを言ってくるのです。まあ、写真を写さないのなら、精度もあまり必要もなく、赤道儀も実はあまり必要ではありません。実は経緯台という架台が安く売られているので、これでも眼で見るなら充分なのです。経緯台というのは上下左右に動き、軽いものですので、何とも遣い勝手がいいわけです。もっとも、見ている内に星はどんどん視野から逃げてしまいますが、逃げたら再び入れなおせばいいわけで、こちらの方が気楽でいいかもしれないですね。