写真館通信の世界
★ごっこ
 ごっこという魚をご存じでしょうか?今回はこの「ごっこ」についてご紹介します。
まず、「ごっこ」というのは北海道の一般的な呼び名で、標準和名は「ホテイウオ」です。でもやっぱり北海道ではごっこと言わないと通じません。
 さて、ごっこですが、カサゴ目ダンゴウオ科の魚で、ホテイウオと言う和名は七福神のほてい様に似ていることからそう名付けられました。
 その分布は広く、若狭湾以北の日本海、オホーツク海、ベーリング海、カナダのブリテイッシュコロンビアにいたる北太平洋海域に分布し、水深2000mもある海域の表層や中層で、主にクラゲ類を食べながら生活をしています。
 産卵期は2月〜3月の厳冬の頃で、厳しい冬の寒さと共に浅瀬の岩場にやってきて約8万個の卵を産みます。函館近郊では、戸井町の海岸の岩場が産卵に適していて、真冬になると戸井の海岸ではごっこの刺し網漁が盛んになります。  産卵後はオス、メス共に死んでしまうそうですが、しばらくのうちはオスが卵を守り、そのためカモメにたべられてしまうことが多いそうです。

ふ化には道南で約一ヶ月くらいかかるので、4月〜5月になると卵がかえり全長1cm弱ほどのオタマジャクシみたいな頭でっかちの子供たちが誕生します。6月になると3cmくらいにもなり、ゆっくりと深い遠い海に帰っていきます。そして、3年もすると成熟し、再びこの浅瀬を目指して帰ってくるといいます。
 
 ごっこが属するダンゴウオ科の魚の大半は食べることができず、このごっこだけは別格でとてもうまい魚です。一般にごっこ汁にして、いただくわけですが、アンコウのようなぶよぶよとした感じがたまらなく、そして体がとても暖まります。
 ごっこ汁には生ノリを入れて食べるとうまいです。食べてもうまいのですが、その見た目が独特で、グロテスクと表現する人はあまりよく見ていない人です。どこが体か顔か目かわからないような売られかたをしているのですが、よく見るとかわいい目をしています。機会があったら是非注意深く見てあげてください。
 
 また函館などのスーパーに冬に行くとよく売ってるんですが、その売り方を見るとむっとすることがよくあります。卵のはいったメスはまあまあの値段で売ってるのですが、オスは2匹まとめて100円というような売られかたをしています。かわいそうに!と思います。せめて、夫婦じゃないにしてもペアーにしてあげたいといつも思います。そしてオスばっかり売れ残る。あんなふうにして、卵のはいった魚ばっかり食べてると、いつかごっこたちもいなくなるぞ!と思い思いしながらぼくはスーパーの魚売場を歩いています。
 また、以前市場の水槽でごっこが泳いでるのを見ました。ぼってとした体からは想像できないくらい軽快に泳いでいて、とてもかわいいものでした。
そんなごっこですが、一度機会がありましたら、ご馳走になってください。
その時は是非、ぺあーで買ってあげてください。