写真館通信の世界
自然浄化について
丘のうえの小さな写真館では10年前からアタックなどの合成洗剤をやめ、
洗濯やお風呂、家事に石鹸を使うようになりました。
この理由を慶ちゃんに聞いてみますと、
合成洗剤は恐いって、本に書いてあったからだと言います。


その頃ぼくはたいして気にも止めなかったのですが、
最近不思議なことが起こりました。
丘のうえの小さな写真館の排水がドブに入るところに
ばらの花を植えようと思ったぼくは、穴を掘ってたんですね。


するとどうでしょう土がとても肥えていて、
みみずが大発生しているではありませんか。
でもその時何も知らないぼくはラッキーと思って、みみずを全部集め、
庭の土の中に運んできて、これできっと庭の土も肥えるだろうとにこにこしていたわけです。

しかし、何年もこれを繰り返していたとき、
丘のうえの小さな写真館の排水の色の変化に気づいたのです。
「あれこの色どこかで見たことあるぞ?」とぼくは考えました。
それはぼくが子供の頃、兵庫県の明石のドブでカエルを捕って遊んだ頃の汚いドブの色でした。
思い出してみると、なぜか見た目には灰色をして、
汚いのにカエルは好き好んでそこにいるんですね。
ぼくたち子供は池にカエルをとりに行くよりも、
むしろドブを狙っていました。
日本の高度成長期に子供時代を過ごした雰囲気伝わってくるでしょ。
 

しかし、池より汚いドブの方がカエルがたくさんいることを僕たちはよく知っていたんですね。
これはどういうことかって考えてみると、
家庭排水っていうのはドブに住む微生物にとってみれば餌なんですね。
家庭排水って言う餌がどんどん与えられて、微生物が増えそれを食べる原生動物が増え、
それを食べるミジンコなどが増えという感じで、結局カエルも増えたということなんでしょうか。
 

知らない内にドブに生態系が成立してたって事になりますね。
これを今の丘のうえの小さな写真館の排水に当てはめてみると、
洗剤を当時と同じ石けんに変えたことで、合成洗剤によって殺していた微生物が復活し、
それを食べる原生動物が増え、みみずも増えたということになります。
 


それはさておき、写真館で使う洗剤を全て石鹸に変えますと、
あの懐かしい一見汚いドブになっているのですが排水点から、
ドブを10m下ってみると、何と色が消え、澄んだ水になっています。
不思議ですね。微生物が分解するって理屈ではわかっているんですが、
実際にこういう現象を目にすると感動します。
ぼくにとって必要ないからドブに流したものが微生物たちの餌になってるんです!
こういう結果になったのは、ぼくのいい加減な性格が幸いしました。
もし、几帳面な人がここに暮らしていて、ドブをきれいに掃除していたら、
そこには微生物の棲む土がなくて、いくら石鹸を使っても無駄だったでしょう。
 

ここのドブというのは側溝にコンクリートのU字管を使っているのですが、
川でいうとこれは3面張の状態と同じで、自然の浄化力はありません。
しかし、これに土が堆積していることで、その土に微生物が棲み、
丘のうえの小さな写真館の出した排水を大喜びで食べてくれたというわけです。
 

それを全て食べ尽くすのにドブを10mもあればいいわけです。
最近では、お風呂で体を洗うのにぼくは海藻入りの石鹸にしましたし、
シャンプーはセッケンシャンプーにしました。
すると、3〜4日頭を洗わなくても髪の毛が抜けなくなりました。
遺伝的にぼくは頭は禿げないんですが、ちょっとは心配してましたから、
これで安心という実感を噛みしめています。
 これに対して、合成洗剤をドブに流しますと、
一見して水が澄んで、綺麗に見えます。
ところが、これが死の水であると誰が予測できましょう。
そこに、微生物が棲まないから水は澄んでいるのです。
どうか、みなさん。合成洗剤だけはお使いにならないように!心から祈ります!
ミミズを狙っているのだろうか、一年中、丘のうえの小さな写真館には鳥が多い。