写真館通信の世界
★ひじき
『ひじき』

森の奥の湖で
乾燥したひじきを水にもどす。
しばらくして
鍋の蓋を取り、水を捨てようとした。
すると
 海の香りがする。
森の奥でかぐ、海の香り。
乾燥ひじきに封じ込められた海の香り。
目に涙が浮かんだ。
小さい頃よくかいだ、せつなく懐かしい海の香りを
青年になったぼくが
遠い旅の空、森の奥でその匂いをかいでいる。
森の暗闇と静けさの中で
海の香りとの出会った。