ポストカード集『夢明かりの街で』をお買い求め下さいまして本当にありがとうございました。
この場をお借りしまして、まずは感謝の気持ちをお伝えいたします。
ポストカード集『夢明かりの街で』は冬の寒さの中に灯る温もりをテーマにした作品集です。
南の国の絶対的な暖かさに比べ、冬の寒さの中では、
ロウソク一本の温もりでさえ有り難みを感じるという想いを込めています。
太陽のエネルギーはその80%が赤道付近に降り注ぎ、
地球が自転して空気の流れや水の流れが生じてそのエネルギーは極地方へと分配されていきますが、
それはほんのわずかなものに過ぎません。
北海道は日本の中にあっては北国という印象が強いですが、
北海道は北緯42度〜46度とちょうど北半球の真ん中あたりに位置しています。
この作品集の舞台となる函館の街などは北緯42度で、
どちらかというとわずかに南にあり、対馬暖流の影響下、
押しつぶされそうになる程の寒さからはまぬがれています。
しかし、本州と比べるとやはり冬の寒さは身にこたえるもので、
冬の季節風が吹けば粉雪が舞う厳しい寒さとなり、
低気圧が来たかと思えば大雪に見舞われたりして、
ほとんど冬になると晴れる日がなくなり、毎日うっとうしい雪雲に覆われる日が続きます。
さらに緯度の高さは冬になると太陽の軌道を低下させ、
昼間の時間は大変短いものとなり、晴れても、冬の乏しい太陽が弱々しく低空で輝くに過ぎません。
こうして気温的な寒さよりも暗くて長い冬を耐えていく精神的な寒さの方がとても強く、
そのことが住む人に小さくともかすかな温もりを求めさせ、愛させ、
そこに救いを求めさせるのだと僕は思っています。
幸いにも、函館近郊は恵山、駒ヶ岳など優秀な火山に囲まれており、
温泉が豊富に湧き出る地でありますから、東北ほどでありませんが、かなり恵まれた環境であると思います。
こうしてかすかな温もりにさえ救いを求めながら、
なんとか冬を越して行くわけですが、これもその土地柄であり、
函館や北海道を冬に旅することがありましたら、
そうした特殊な風土性を味わっていただけたらたいへん嬉しく思います。
ただ、慣れぬ土地ゆえ、かなり寒く感じられるでしょうから、
風邪などをお召しになりませんよう、気をつけて冬の旅をお続け下さいませ。
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