単品ポストカードの世界
小樽の街のポストカード
一枚…100円(税込)
小樽はかつて北のウオール街とまで言われたほどの街で、北海道経済の中心でした。
しかし、今はその位置を札幌に譲り、古き郷愁をよく残しながら、往年の風格を街の至る所で感じさせてくれます。
TO-1 TO-3 TO-4 TO-5 TO-6 TO-7
TO-2
TO-8 TO-9 TO-10
〈小樽写真ポストカード〉9.7cm×14.5cm
印刷ではなく、写真そのものをポストカードにしたものです。そのため、印刷に比べ退色が少なく経年変化に強く、光沢も深い質感を持っていますが、ポストカードサイズが若干小さめなのが惜しまれます。
TO-13 TO-15 TO-16 TO-17
TO-11 TO-12 TO-14
TO-18
TO-19
TO-20
TO-21
TO-22
、作品中にある丘のうえの小さな写真館の白抜きマークは画像保護のためのもので、実際の作品には描かれていませんので、ご安心下さい。

『古き北の街で』小樽へ寄せる想い
写真家 山下正樹
 僕は港町が好きだ。神戸で生まれたせいである。
僕が生まれた頃の神戸、そこにはもはや天然の海はなく、海はコンクリート製の岸壁で固められ、海は貿易や造船のために造られた「港」という経済的無機質な存在に変わっていた。
 父から、子供の頃はこの海で泳いだ、などと聞く度に僕は港を恨みに思った。

しかし、時と共に、僕の心の中では天然の海よりも「港」の方が親しむものとなり、何か辛いことがある度に僕は海に行くのではなく、港に行き、港独特の潮風を感じながらぼ〜っと港に出入りする船や活気に満ちた港の気配に身を委ねた。

 そんな僕の港への思いは、進学で北海道に来たときに決定的になる。
あれほど暗くて陰湿だと、嫌がっていた港の片隅の暗闇のことが妙に懐かしいのである。北海道には例え函館と言っても神戸の港のような陰湿さはない。

 どうして自分が陰湿な港の片隅の気配を「懐かしい」と感じるかは理解できないところであるが、僕はその思いを函館の港に求めるのだが、年々明るさを帯び始める函館の港に対し、どこか違うものを感じていたのみ事実である。

 そんな折り、すなわち1997年頃のこと、僕はフジカラー札幌の専務であられた福島俊彦さんのおかげで、フジカラー小樽と交流をもち、小樽を撮影する機会が与えられた。

 そして、そのチャンスに僕は福島さんの別荘を借り、そこを拠点にして札幌と小樽を同時に写しはじめた。撮影は夏と冬の2回、いずれも一ヶ月という長期に渡る撮影であり、僕はその間に、小樽と札幌という北の町の隅々まで撮影しに回った。

 その時、小樽では、函館では得られなくなっていた、かつての神戸の港のことが彷彿とされ、僕は小樽に郷愁を感じ、また神戸の思い出がそれに重なった。

 同時に函館と違い雪深い小樽の町は、僕にいっそう強いヨーロッパの街並みのことを連想させた。

 こうして、小樽の撮影は僕の心を十分に満足させ、その結果としてその撮影を通し上にあるポストカード十数枚とポストカード集『古き北の町で』とが残ったのです。