館 カレンダー『北国の小さな物語』
★1999年 12月★
『夢の月夜に』

美しき冬に夕暮れ
街の灯が静かにともるころ
三日月さんと共に語る。
月は美しい世界中の夜空のことを話して聞かせ
二本の樹は楽しかった丘の一年のことを話している。
そうこうしているうちに時は過ぎて
今年も一年が終わろうとしている。
「今年も楽しかったわねぇ、三日月さん」「うん」
「さぁ、来年も!楽しい一年でありますように」

[除夜の鐘]
 ゴォ〜ン‥‥‥。祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。奢れるもの久しからず、ただ春の夜の夢の如し‥‥‥一年の終わりに、この平家物語の想いをむねにして、除夜の鐘の音を聞きながら古い一年を送り、新しい一年をむかえる。なんとも東洋的な寂なる世界観である。除夜の鐘は百八つつかれる。人には百八つの煩悩があるという仏教思想に基づいている。そのため各寺院の鐘についている「いぼ」の数も全て108であるという。除夜とは「夜を除く」ことであり、つまり寝ないことであって、徹夜で起き、細く長く幸せであることを願いながら夜食として年越ソバをいただく。