3月も終わろうとする頃 ぼくは湖の氷が割れて、 氷がひとつ、またひとつときえてゆこうとする情景を 飽きることなく見つめていたことがある。 毎日、毎時間、その形、色彩を変えてゆく氷の湖の変遷。 その氷の湖にひと月の時が流れ、桜の花が咲く。 水ぬるむ頃、春の陽気はなんとやさしさにみちているのだろう。