館 カレンダー『北国の小さな物語』
★2001年 6月
『初夏の光を浴びて』

 ばらの花を咲かせたくて
この春、古くなった庭の白い柵を手直しして
ていねいに白いペンキを塗り重ねた。
そのかいあって
白い柵を背景に
黄色のばらが咲いてくれた。
名前はグラハム・ト−マス
長いこと憧れていた黄色のばらだ。
午後の優しい光の中で
庭はいつもより輝いて見えた。

【自然界からの音】
たいていの北国の自然界では音をたてることがなかったり、音が聞こえても静かなものが多く、北国には激しく高鳴る音というのはあまりないように思います。しかし、それでも5月からのカエルの大合唱やセミたちの鳴き声、秋の虫の音色などは季節の高まりを音で知らせてくれます。自然の豊かさを歌うこの自然界からの音は、北国に生きる者の心に力強く響いてきます。丘のうえの小さな写真館にも豊かな自然があるのでしょう、セミたちは「うるさい」とは次元が違った耳をつんざくばかりの大音響で丘のうえの小さな写真館を取り囲みます。ここは虫たちにとってもぼくたちにとっても天国のようなところなのかもしれません。