館 カレンダー『北国の小さな物語』
★2001年 8月
『朝と夜の出会うとき』

 夏の夜
その過ぎゆく夢の終わりに
また新しい夢と出会う。
オリオン座は冬の星座と言われるが
夏の終わりのその夜明け頃
東の地平線にほんの一瞬その姿を見せる。
そして、オリオンは
朝の光と夜の光の交錯の中で
静かに夢の軌跡を残して消えてゆく。
つかの間の夏の夜明けに
かすかな冬の気配を感じる。

【ほたる】
7月から8月にかけて夜空を見るために草原や丘のうえに行くと、満天の星空の下で蛍(ほたる)たちと出会います。蛍は暗い大地の葉陰で黄緑色の光でかなり鮮明に光っていたり、どこからともなく飛んできたりします。7月〜8月というと流れ星もたくさん飛ぶ頃ですから、蛍が飛んでくると一瞬、流れ星かと見間違えるんです。流れ星と違うのはどこか揺らめきながら飛んでくるところです。蛍の命は長くても1週間と聞きます。そう思うと、蛍と流れ星が重なり合います。どちらも一瞬きらめいて、す〜っとどこかへ消えていく。永遠に輝く星々の空の下、つかの間の夏に蛍の光と流れ星とそしてぼくたちと……。