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丘のうえの小さな写真館 北国通信の世界
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第82号 北国通信『冬が終わりそう』 2003年2月
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●No1
今回の作品は、1月に引き続いて大沼の作品です。最近冬に仕事をため込むせいか、今年も冬に遠出できず、一冬のそのほとんどを館にこもって過ごします。その中で唯一の息抜きというと、近くにある大沼湖に出かける散歩になります。今回の作品はその散歩からの作品ではありませんが、1997年の3月下旬頃の大沼湖の雰囲気を表現したものです。
先月、冬の湖上のお散歩を紹介したので、それに続いて、お散歩ができなくなっていく湖の様子をお見せしたかったわけです。場所は、大沼湖の東側。お気に入りの静かな入れ江です。
まず、氷に切れ目が入って、離れて、氷が風に運ばれてなくなっていく。1997年は彗星を撮影していたので、この頃の大沼には毎日来て、つぶさに湖の氷の消長を観察しました。湖の氷が割れて消え始める……。見た目にはこの変化は一日で起こるります。午前中にあった氷が午後にはすっかりなくなってしまう。信じられない自然の移り変わり。しかし、この湖面の氷が一日で消える変化は、本当はずいぶん前から徐々に起こっていたのだろう。それは目に見えない形であったのか……、それとも目にも見えていたにも関わらず、その微妙な変化に気づけなかったのか……。それは今の僕にもわからないこと。でも、多分それを感じることはとても大切なことのような気がする。なのに、僕たちはそれ以上に大切だと思うことをいっぱい抱えているのか、自然の微妙な変化に耳を貸していくことになかなか時間を割けないでいる。そして僕の場合、最近特に思うこの「四季の微妙な移り変わりをじっくり見たい!」という想いは忙しさの向こうでかすんで見えたり見えなくなったりを繰り返す。だからせめても、遠くの世界での微妙な四季の変化をつぶさに観察できなくとも、少なくても身近なところの季節だけでも感じていたいと僕はつとに思う。
それが今年、2003年2月下旬現在、まだ湖は氷に閉ざされていて、今は溶けていく気配はないが、今年はどうも春が早く来そうな感じ。庭に積もった雪を毎日見ていると、日増しにそれは後退し、減っていきます。このぶんでは春がいつもより早く来そうなんですね。
この辺で、目に見える形で雪が減り、春の訪れを告げる福寿草が咲くのが3月下旬。僕はこの福寿草の開花をもって春の訪れとし、一年の出発点としています。この出発点に合わせて冬の予定を組んでいるから、冬が早く終わって春が早く始まられては大いに困るわけです。
この2月は色々なことがあった。続いてそのことを話していきます。
まず、1月31日に武井バーナーという灯油コンロを購入します。以前マナスル121という灯油コンロを購入して使ったものの、その余熱にとても手間がかかり、なかなか実用していくには難しいものでした。だから武井バーナーという灯油コンロにも多大な期待はありませんでした。しかし、実際に使ってみると、驚くほど使いがってがよく、火力も強く、安定した頑強な造りなど文句のつけようがありません。久しぶりに日本製の製品に満足を感じます。何といってもこのコンロの特
徴はその燃料が灯油だということです。灯油はご存じの通り、値段が安く、揮発性が低くて、ガソリンやガスと比較しても危険度が低く、家庭で使うには最適な燃料です。しかし、その反面余熱に時間がかかり、急いでいるときなどいらいらします。これは普通にある灯油ストーブを使ったことのある人なら誰でも経験したことがあることでしょう。
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●No2
ディーゼル自動車(軽油)などもこの余熱時間がかかることがネックでしたが、いすゞが見事に解決して、今ではガソリン自動車と同じように使うことができるのですね。
話はそれましたが、武井バーナーの場合その余熱に何と2分くらいもかかるものの、マナスルなどのように、いちいち余熱皿にろうや石綿を置いて、灯油を垂らして、点火して……なんていう、恐ろしく面倒くさいことをしなくてもよく、着火マン1本あれば本燃焼に移れる手軽さです。こうして安定的に灯油コンロを使っていくと一ヶ月の炊事にかかる費用がびっくりするほど安くなります。何たってガソリンの1/3の価格。火力はガソリンと同等。ちょうど一月使ってみた感じでは、多分4リットルの灯油を使えたかどうかという感じ。値段にしては約160円。多分、もしこれ一台で全炊事をこなしたら、最高でも300円くらいかなあ?という感想です。また、付加的に魅力的なのは、その造りがしっかりつくられていることで、アメリカ製のガソリンコンロやガスコンロと違って、非常に安定していることでしょう。そして、火力が弱いのでは?と思いきや、そんなことはなく、実用にちょうどいいようですね。この炊事にかかる費用が一月300円という値段どう思いますか?たいてい北海道の家庭では400リットル入るホームタンクが設置されています。400リットルの灯油というとなんと16000円!これで2カ月はもたない感じです。部屋を暖めることの大変さ?を感じます。
炊事というと、食べるものをつくるということ。言い換えれば、自分たちの体温を維持するための熱量。その維持にかかる費用一月300円。なんて安いんだろう。
次に、先日札幌の僕の木の先生から電話をいただきました。
「ねえ、Octoberって意味から言うと8だよね?なのにどうして10月=Octoberになってるの?それから、現在の正月1月1日と太陽や月の関係ってどうなってんの?」
こういう質問をいただきました。
木のことに関しては、彼は先生ですが暦に関しては僕の方が少しはよく知っています。
それで自分の知っていることをお答えすることになります。その要点をまとめますと次のようになります。
まず、現在の正月1月1日がどうして一年のあそこにあるかについては、太陽や月の動きとは何の関係もないことをお話しします。このことは、口頭で色々な人にお話しするのですが、どうもうまく伝わりません。誰も1月1日があんな寒いだけでとりたてて何の変哲もないところに置かれていることに疑問を感じていないのでしょう。しかし、ちょっと考えてみるとおかさしに気がつくんです。どうして、あの寒い中、新春のお喜びを申し上げないといけないのか?とかですね。春はもっともっと先にあります。ではどうしてこんな何の変哲もない日が1月1日なのでしょうか?
たいてい暦というと太陽や月や地球の運行の関係で決められます。それで太陽の動きを見て、さて、1月1日をどこにしようかなあ?と考えたとします。さあ、みなさんならどうしますか?どこを一年の出発点である1月1日に決めますか?
ぼくなら、太陽が春分点に来たときがいいなあ。もちろん、北国ではまだまだ春が来るのは先ですが、本州ならちょうどいいように思います。それこそ、新春のお喜びになるんです。
春分点というのは、天の赤道と太陽の通り道である黄道の交点で、太陽が南から北に天の赤道を横切る点です。つまり、北半球に暮らす者にとって、それこそ太陽の出発点と言えるわけですね。この日が正月であるといいように僕は思いますが、みなさんはいかがでしょうか?寒い冬、お餅を焼いて、ミカンを食べて、こたつで猫が丸くなるという歌ではなくなりますが、もっと自然な季節感が養われていたことに間違いはありません。
次に、10月=Octoberの矛盾ですね。たこの脚は8本だから英語でオクトパスと言うんですね。しかし、カレンダーではすっかりOctober=10月が定着しています。いやいやおかしなことです。
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●No3
この矛盾が起こったのは時を遡ること2000年、ローマ時代みたいです。
ローマ時代の最初の頃、冬になると暦がなくなりました。日にちを決める意味がないと言うのです。つまり、暖房施設もなにもなく、すべての活動が停止してしまう冬に日付を設けることにローマ人は意味を見なかったわけです。それで、ローマ時代初め、一年は春から始まります。現在の3月頃ですね。つまり春から秋までしか一年がなく、10カ月しかなかったのでのです。それでその後、それではあまりに不便だということで、10月のあとに11月=January,12月=Feburaryという月を付け足します。それが、ヌマ暦の改革の時に、一年の先頭に来て現在のようにJanuary=1月、Feburary=2月になり、順に2カ月ごと遅れていくことになります。これが、Ocotober=10月の理由ですが、しかし、いったいどうしてこんなことをするんでしょうね。どうも、神様の名前が関係してるそうなんですが、いやはやちょっと苦しいなあ、と僕は思います。それ以降、どういうわけか、ユリウス暦になっても、グレゴリオ暦になってもこの傾向はかわることなく2000年間使われてきたということです。いやいやおかしなことだなあと思うのですが、どうも、これには政治的な理由もありそうですね。自然の季節感を無視して時間を決めていくなんてことがまかり通るといえば、そんな無粋なことしか考えられないと僕は思うわけです。
さて、そのようなことを思い思いしながら、2月も過ぎていったわけですが、その他にも色々とありました。
なかでも、春に再び札幌で写真展を開催することになったので、その準備に追われます。期日は3月7日から13日の1週間です。札幌駅前になんかすごい商業施設ができるというので、その他の商店街の人たちはお客さんがいなくなっては大変ということで、様々な催しをするんだそうです。その催しのひとつとして、お前たちもやってみないか?と連絡が届きます。それで、慎んでそれを受けて、丘のうえの小さな写真館10周年の記念写真展の春夏編ということで、準備を進めます。展示作品は、過去10年間の代表作品を飾り、また10年間の歩みを展示する予定です。宣伝する暇がとれず密かな開催になりそうです。実はこの北国通信で初めて口にしたのです。もしここを読まれる方で、お時間が都合つきましたら、札幌のサンピアザの光の広場というところ(秋と同じところですね)でやっていますので、お越しください。
また、2月下旬には使っているコンピューターを新しくしました。今までのは4年間使ってきたんですが、速度が遅くていらいらが募っていたのです。しかし、今回買った中古のコンピューターはモニターが美しく、性能もまずまずです。予算の都合で最新型の10代くらい前のものになったんですが、今までのに比べたら断然良くなりました。これで視力低下に歯止めが利けばと期待しているところです。みなさんも、モニターだけは古くなったらさっさと見切りをつけた方がいいように思います。大切な目ですからね。
以上ですが、その他、時間の合間を見つけて2年前に折れた看板を新しくしたり、壁の文字を新しくしたり、コンピューター関係のシステムを一新したりと、忙しく時を過ごしています。このことは冒頭でも言いましたように、季節とは何の関係もない“大切そうなこと”なんですね。やらないわけにはいかないからやる……しかしすると季節が遠くにいってしまう……。この矛盾の狭間で揺れ動くわけですが、しかし、僕はじっと我慢してこういうやらないといけないことをひとつひとつやっていくことにしています。でも、その先のところで必ず季節の中へ復帰するぞ!という夢があるから耐えられるんだと思うんです。
季節の中に憩いあり、忙しさのかなたにそれを想うのみ。
もうすぐ春です。楽しい季節がそこまで来ています。辛抱はもう少しだけ。がんばってきましょう。
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1月末頃から石鹸造りや、味噌造りに挑戦中です。前からやりたかったんですが、時間がなくて今になりました。
味噌は札幌の友人の佐々木君が作った無農薬の大豆を使い、武井バーナーで煮ます。そして、壷に仕込むんですが、結果が出るのはなんと一年後。味噌って作るのに時間がかかるんですね。
反面石鹸作りは非常にお手軽。廃油とNaOHだけ。2週間もしないうちに使えるようになり、泡立ちも抜群。どうしてもっと早くしなかったんだろう!後悔してます。 |
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