長時間大雪山の山奥深くに入り込むために僕はそれまで使ってきたトキナーの28-70mmF2.8からこのニコンが誇る最新のズムレンズであるAF-S Nikkor 28-70mmF2.8EDに変えた。
それで、これでまず大丈夫だろう！という思いを抱いて、大雪山の撮影に望んだ。
しかし、その結果、このAF-S Nikkor 28-70mmF2.8EDで写したフィルムのほとんどが半切以上にプリントできず、僕は肩を落とした。
いったい何が原因なのか。その時の僕にはわからなかった。絞りすぎの影響か？、ミラーショックか？三脚の強度不足なのか？考えられることは全部疑い、この疑問をはらすために撮影機材の模索の長い旅に出ることになった。
もし、このレンズで写した大雪山のプリントが少なくとも半切程度で鑑賞に耐えるようなものであったら、僕の人生は変わっただろう。すなわち、ライカへの道を進むことなどはなく、ずっとニコンを信じて今もやっていたのだろう。もしかしたら、その方がずっと幸せだったのかもしれない。
　ズームであるから光があふれ輝くような写りをすることが期待できない。見た目に、解像力のある、シャープな写りもする。なのに、どうして半切に伸びないのか。少なくともどうして僕はこのレンズで撮影したプリントに満足できないのか？何かが欠けている。僕にとって必要な何かが欠けている。それが何なのか。わかりそうでわからない。しかし、未だにそのことを確かめられない、いらだちの中に僕はいる。今年こそそのことを確かめてみたい。