日本列島縦断の旅
ー暑熱と湿潤の合一する世界へー
山下正樹
Masaki Yamashita
暑熱と湿潤、その合一こそ
日本列島の風土を特徴づけている。
そして、それはこの日本に豊穣の実りを約束するが
その反極で、夏草の旺盛な繁栄を促し
その結果、我々の祖先は
この夏草と不断の戦いを強いられ、
結果、その農業労働の多忙さゆえに、過酷と貧困のどん底へと貶められてきた。
そうした厳しい風土のために、
我々の精神は自然への「忍従」として規定され
それが我らの血肉となり、
我らの精神構造の底流をなすに至る。
こうした日本の風土を
特に暑熱と湿潤の合一が顕著に見られる梅雨のその時期に
列島を北から南に縦断することこそ
日本列島を理解し、我らの精神構造を規定する
日本の風土を理解できるまたとない機会であると判断し
僕たちは爽やかな北海道の初夏の風に送られて
南へと旅立ったのである。