館 カレンダー『北国の小さな物語』
★1998年 4月★
『初 恋』

大きな広い世界の中で
誰にも知られることなく
育まれる小さな恋の物語がある。
本当に小さな心と心が結ばれて
  見えない糸でしっかりとつながっている二人。
春の牧場で、そんな二人のカタクリの花に出会いました。
カタクリの花は「初恋」の花。
照れくさそうに咲く小さくて可憐な花。

[四月の北の風景]
本州は梅や桜が咲き、みごとな春が到来する月だというのに、北国の四月はどこか物悲しい。雪もすっかり溶けてしまったというのに、野山は四月の間中ずっと地味な褐色の色彩に支配される。北国に住む私たちは、雪がすっかり溶けてからも一か月という長きにわたり、春の到来を待たなければならない。しかし、四月の雑木林に分け入れば、目立たないながらも、確かに春の命の鼓動が聞こえてくる。地面の下からにょこにょこ出てきた小さな命と出会い、感動できるという密かな楽しみもある。