双眼鏡の役割・選び方1
双眼鏡の役割・選び方
ポロプリズム型
ダハプリズム型
プリズム形式の違い

まず、双眼鏡にはプリズムの組み合わせ形式から「ポロプリズム型」と「ダハプリズム型」があります。
この違いは、上の写真のようにだいたいは形を見ればわかります。
どちらを選ぶかは、形の好みで良いと思いますが、
一般的に、ダハ型の方が小型でコンパクト、
ポロ型の方は少し大型になります。
個人的には僕はダハ型の双眼鏡が好きで
ライカLEICAとツアイスZEISSの双眼鏡を一つづつ所有していますが
両方ともダハ型です。
慶ちゃんも小型で持ち歩きやすいライカLEICAの小型のダハ型双眼鏡を使っています。
彼女は鳥が好きな人なので、湿原や森に行くときには
いつも携帯しています。

ピント合わせのやり方の違い
CF式(センター・フォーカス)
IF式(インディビデュアル・フォーカス)
ピント合わせの方式には上の写真のように
IF式(インディビデュアル・フォーカス)
CF式(センター・フォーカス)
があります。
IF式の方は、片目づつピントを合わせる方式ですが、
極めてピントがあわせにくく、
∞に固定して使うような場合などにむいていると思います。
ピントはあわせにくいですが、防水、防湿、防塵性能に優れているのが特徴です。

次にCF式は中央にあるリングを片手でくるくる回すだけでピントを合わせられますので、
ピントが実に簡単に合わせられて気持ちよいものです。
しかし、防水、防湿、防塵性能はIF式に比べて劣るようです。

以上から一般的には
CF式(センター・フォーカス)の双眼鏡のほうがかなり使いやすいです。

それともう一つアドバイスはピントの合う範囲です。
∞に合うのは当然ですが、
どれだけ近くにまで歪まないでピントを合わせることができるか、などの点も
大事な選択の基準です。

双眼鏡の楽しみ方として
遠くを見るばかりではなく、近くのだけど側に寄れないような花や虫を
見ることも楽しみ方の一つだからです。
倍率と口径
倍率と口径は双眼鏡を選ぶ上で一番大切となることです。
上の写真にあるように8×40といった表示が双眼鏡には見られます。
たいてい倍率を前に書いて、後ろは対物レンズの口径をミリで表しています。
従ってこの双眼鏡は倍率が8倍で、口径が40mmの双眼鏡だということを示しています。

このスペックのことを通常、「4cm8倍の双眼鏡」とも言うこともあります。
 
では、この倍率と口径はどのくらいのものがよいのでしょうか。
理論的には、口径は大きければ多きいほど良く、
倍率は低ければ低いほど明るくなります。
でも、人それぞれ使う目的でちょうど良い倍率や口径のものを選ばなくてはいけません。
このことはとても大事なことです。


倍率

まず、倍率ですが、何10倍率がかけられますよ〜〜
というのを売り文句にしている双眼鏡が多々あります。
ですが、こうしたうたい文句にだまされてはいけません!
双眼鏡には双眼鏡として使うのに適した倍率があるからです。

一般的に、双眼鏡の倍率として選ぶ場合、
8×(8倍)
を選ぶのが無難だと思います。
なぜかというと、この倍率が手で持って見ても
ぶれずに見えるちょうど良い倍率だからです。
それで、僕が使っているのはというと、
ライカLEICAのが7倍。ツアイスのが8倍です。
慶ちゃんは、ライカLEICAの10倍です。

彼女は手ブレしないことを自慢としていますので、
10倍でも私はぶれない、と豪語しているのです。
そういうわけで、手ブレしないことに自信のある人は
10倍ならギリギリいけると思います。

が、それ以上の倍率となると
三脚に乗っけることは必須で、
双眼鏡独特の機動力は失われます。


口 径

口径とは対物レンズの大きさのことですが、双眼鏡の場合には2個ついています。
それは大きければそれだけ明るく、分解力も高く見えるようになります。
しかし、重く大きくなります。
それで自分にちょうど良い大きさのものを選びます。
たいてい昼間であれば、口径20ミリ(2cm)もあれば充分です。
薄暮や夜も使うとなると50ミリ以上が必要ですが
星などを見るとなると、もっともっと大きなものがほしくなります。

僕の場合には、星を見ることも多いので
ライカLEICAは42mm、ツアイスのは56mmあります。
慶ちゃんは星は見ないで、もっぱら鳥や花なので
20mmの小型の双眼鏡です。

口径というのは、上の写真にあるように、あるように、対物レンズの直径のことです。
この直径が大きいと、集光力が大きくなり
暗いものまでよく見えるようになります。
ただ、昼間に使うときには、口径20mmで十分です。
左が口径8倍bm、右が10倍25mmの双眼鏡です。
倍率は右の小さい方が大きいですが、図体はとても小さいですね。
倍率と大きさはあまり関係がありません。

図体の大きさの違いは
口径の違いによるものです。
左の双眼鏡は口径56mmで右のが25mmですね。
こうした口径の違いがこんなにも図体の大きさになって現れます。
一般に、昼間だと、右側ので十分で、鞄の中にしのばせて持ち歩くことができます。

しかし、左のは大きくてとてもそんなことはできません。
しかし、口径が大きい分
集光力が大きく
暗いところや星などの淡いものがよく見えるようになります。
その他、重要な双眼鏡を選ぶ上での着眼点
最短合焦距離

 双眼鏡は遠くのものを見るだけではなく、すぐ近くのものを見るときにも役に立つことがあります。例えば、木道からはずれられない状況で木道から少し離れたところに咲いているお花を見たり、虫を見たりするときです。このような場合には近くまで見られる双眼鏡でないと、欲求不満が募って、その双眼鏡が嫌いになってしまいます。

また、肉眼で見るよりもより明るく、細かく見ることができるので、手が届かないようなところにある花々、虫などを見る時には双眼鏡はいいものです。
一般的に、IF式(インディビデュアル・フォーカス)のものはこの最短合焦距離が長く、20mとか中には、100m以内に、ピントが合わせられないような双眼鏡まであります。
 いくら高級な双眼鏡でもIF式(インディビデュアル・フォーカス)は最短合焦距離の長いものが多いようです。

それに対して、CF式(センターフォーカス)のものは最短合焦距離の短いものが多くて、とても重宝します。
僕はできるだけ最短合焦距離の短い双眼鏡をお勧めします。
 ただし、最短合焦距離を無理に短くした双眼鏡も多く存在し、近くを見るとものの形が大きく歪んでくる双眼鏡もたくさんあります。

見掛け視界(みかけしかい)

 視界には、見掛け視界と実視界という項目がありますが、性能に関わるのは見掛け視界の方です。
例えば、同じ倍率の双眼鏡があったとします。同じ倍率なのだから同じ広さが見えるだろう!と考えますが、そこが落とし穴です。
 倍率が同じでも、その双眼鏡によって見える広さが違ってきます。
 こうした双眼鏡をのぞいたときに見える視界のことを見掛け視界といい、広い方が気持ちよく見えます。
(*注:しかし、難しいことをいうと、見掛け視界を広くすると、その広い視界全部に渡りピントを出そうとするために、色々と無理が生じます。例えば、中心像を多少犠牲にしつつ、端までピントを出そうとしますが、こうすると中心像まで甘く解像感がなくなります。逆に、中心像をシャープにすると、端は捨てて甘くなります。こうしたことは双眼鏡のみならずカメラレンズに置いてもそうなんですが、各メーカーの設計思想が反映される点で、一番面白いところです。

アイレリーフ

 双眼鏡を覗くところにある小さなレンズのことを接眼レンズと言いますが、この接眼レンズに目をひっつけて僕たちは双眼鏡を覗きます。この時の接眼レンズと目の距離のことをアイレリーフと呼んでいます。
 この距離はとても重要で、例えばメガネをかけている人などは特に重要です。
また、あまりに近いと目の水蒸気で接眼レンズが曇って見えなくなるということもああります。

ひとみ径

 対物レンズの口径÷倍率=ひとみ径 で、このひとみ径が大きいほど暗いところまで見ることができます。
このひとみ径の大きさを見るには、接眼レンズに目をひっつけるのではなくて、
30cmほど目を離して接眼レンズの中を観察してみます。
すると接眼レンズの暗闇の中に光が射し込んだ明るい円が見えます。
この円がひとみ径で、このひとみ径が大きいと暗いところでもよく見えるようになります。

そして、このひとみ径を2乗した数値を使って双眼鏡の明るさの基準数値にしています。
暗いところ、すなわち星などをよく見ようとしている人には双眼鏡を選ぶ上で重要な項目になります。

しかし、必要以上にこのひとみ径が大きくても意味がないことを覚えていて下さい。
 例えば、昼間人間のひとみは1mmとか2mmしかありませんし、
夜になっても最大で7mmですが一般には5mmほどですね。
従って、だいたい5mmほどのひとみ径のものが理想的なのでしょうか。

 こうした5mmのひとみ径の大きさから双眼鏡を考えてみますと、例えば口径40mmの双眼鏡の場合

40mm÷倍率=5mm(ひとみ径)

より、倍率は 上の式より40mm÷5mm=8となるので 8のものを選べばよいと言うことになります。

これと同じく 口径50mmの双眼鏡でひとみ径が5mmだとすると、

          50mm÷倍率=5mmから 倍率10 あたりがよさそうです。

接眼部から見ています。上の写真では強い光にかざして
ひとみ径が見えるようにしています。
左の双眼鏡の瞳は7mmもありますが、右側のは2.5mmしかありません。
これを見ると、左の双眼鏡は夜型。
右のは昼型だということがわかります。

その他の重要な着眼点

以上で、理論的な双眼鏡選びはできるのですが、他に大事なことが、いくつかあります。

それは、

1)携帯性
2)メーカーの性根の入れ方の違い  
です。

上の説明からどんな双眼鏡が良いのか、方針を立ててみましょう。

まずは、昼間がその使用の80パーセントを占める場合、
思い切って薄暮や夜の星などを見るのをすぱっとあきらめます。
その場合、口径は20mm〜30mmで良く、倍率は8倍〜10倍が最適です。

また、できれば、ポロ型も良いのですが、携帯性を考えれば、ダハプリズム型に軍配が上がります。

また、メーカーは国産よりもライカとツアイスの双眼鏡は驚くほどよく見えます。
特にライカはその場の空気の美しさを伝えてくれます。
具体的には、まさに鳥の羽一本一本、花びら一枚一枚をクリアーに観察できる性能です。

ただ、ライカLEICAは値段が高いので、ライカの有り難みを知る意味でも、まずは国産でだまされてからライカLEICAやツアイスに進むと良いと思います。
 ツアイスはダハ型よりも、イエノプテム、デルトリンテム、デカレムなどポロプリズム型でアンティークな双眼鏡が多数あり、コレクション的な存在でもあります。

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