旅の空の下から
銭 湯
 旅には銭湯や温泉が不可欠です。
夏には汗を流すために、冬には夜長の時間つぶしと冷えた体を温めるためです。
最近は温泉ブームでどこへ行っても温泉があります。
旅をするものの視点ではとてもありがたいことです。

しかし、その影で銭湯の数は少なくなっているように思えます。
それゆえ、ぼくたちは旅に出たらできるだけ銭湯に入ることにしています。

その昔、予備校の先生が言っていたことがありました。
「僕は旅に出ると、必ずその土地の銭湯に入る」と。
その土地の銭湯に入ると、その土地の人々の暮らしが直に伝わってくるからだと、
その先生は言っていました。
僕も同感です。
上の写真は高知県の高知市内にある潮湯(うしおゆ)です。
この年の高知は、あまりに蒸し暑く、
銭湯に入らないでは、とても夜を越せませんでした。
しかし、看板を出し、目立つはやりの銭湯はどこも800円などと
信じられないような高値で、
とても風呂に入る気になれません。

そこで、慶ちゃんが、電話帳をたよりに探し出したのが、
上の潮湯(うしおゆ)という銭湯でした。

僕たちがここにたどり着いたときには
もう営業が終わっていましたが、
女将さんの厚意でなんとか入ることができました。

しかも、その時番台の女将さんと話した会話が元になって
その後の僕たちの運命は好転していったのです。