6×6判と35mm判のフィルムの大きさ比較。
このフィルムの大きさのために
大きくプリントすると6×6判の方が滑らかに美しくプリントすることができます。
また製版の時にもこのフィルムの大きさを信じて
ずっと中判すなわち6×6判や6×4.5判を使ってきました。
しかし、こうした6×6判や6×4.5判で撮ろうとすると
35mm判のような快適なフットワークを実現することはできませんので
撮影が難しくなります。
僕は長年、こうしたことを知りつつも
風景には中判カメラを使うものと思ってやって来ました。
つまりは、中判で撮っておけば、まず大丈夫だろうという
安心感です。
つまり大きなプリントも製版もまず無難で大丈夫だろうという気持ちです。
しかし、そのことで、真の写真の面白さを失っていたことも事実です。
こうして長年中判でやってきて
今さら35mm判に変われるか?という一番大きな障害となったのは
このフィルムの面積の差でした。
長らく僕はこのフィルムの面積の違い、すなわち大きさの違いによって
中判を使ってきたわけで
35mm判の本当に小さなフィルムを見て、
こんなにちっぽけなもので、本当に大丈夫なのか、とすごい心配でした。
しかし、実際にやってみると
ポストカードではカラーでも白黒でも
中判カメラで撮ったものよりも
R型ライカ、35mm判で撮ったフィルムからの方が
より美しく仕上がるということを確かめたのです。
僕はこのことをR型ライカとハッセルブラッドの比較によって
確かめたことですので、他のメーカーのレンズではわかり得ませんが
R型ライカの方が光り輝くプリントを制作できるのです。
つまり大きく引き伸ばさない場合には
フィルムの大きさの差がプリントに影響を持つのではなく
何のフィルムを用いたのか、
何の印画紙を使ったのか
どのレンズとカメラの組み合わせで撮られたのか、
という総合的な組み合わせによって
その品質は決定されるのだと思います。
そして先の、R型ライカの方がハッセルブラッドよりも…品質が高いという
記述については、
恐らくライカとハッセルのフィルムの大きさの違い
すなわちライカの方がより狭い範囲で収差を補正すれば良いという
制限の少なさによって、非点隔差(非点収差)の補正が完全であったり
照度が狭い範囲に集中することで、コントラストが高くなるということが
一番大きな原因であると考えています。
つまりは、大きく引き伸ばさない場合には、
大きなフィルムの収差補正のしにくさがあだになって
フィルムの小さな35mm判の方がより良い結果が出るのだと想います。
こうして大きく引き伸ばさない写真で
きちんと収差補正されたレンズで写されている限り
フィルムの小さい方が有利!ということになると思います。
しかし、画質という点を見れば、
これはどこかの引き伸ばし倍率で逆転が起こり得ると思いますが、
そのことは別項で説明をするとして
ここでは、フィルムの大きさだけが
写真の出来不出来を左右しないことを申し上げたかった次第です。