撮影機材
バリオエルマリートR28-90mmf2.8-4.5 ASPH.
バリオエルマリートR28-90mmf2.8-4.5 ASPH.

このレンズはライカの標準ズームで
バリオエルマリートR35-70mmf2.8ASPH.の後を継いで登場したレンズです。

僕は35mm判で風景を撮る場合、
35mmと50mmの隙間を埋める意味からも
また長年の習慣からもこうした標準ズームは不可欠であると考えていました。

国産ではこうした標準ズームは
望めばすぐにでも綺麗な中古が手にはいるので
入手には何も苦労はしない、ごく一般的なレンズです。

しかし、ライカの場合は事情は異なり、
国産であればいたって普通のレンズを中古で手に入れることは
本当に難しいことです。

それで、僕もしびれをきらし、
新品で購入しなければなりませんでしたが、
その資金の捻出には、並々ならぬ努力をしました。

しかし、その甲斐あって、
なんとか手に入れて、活躍中です。

ライカR9とバリオエルマリートR28-90mmf2.8-4.5ASPH.のコンビ。
今の僕の一番スタンダードな組み合わせ。

このレンズは使ってみて、
単焦点レンズと比べ、解像力もなければシャープ感もないレンズで
ズームならこんなものか、と感じる水準のレンズです。

また、コントラストはとても高い設定で、
メリハリの効かした写真を撮るときには
とてもズームとは思えないような
コントラストの良い写りをしてくれます。

しかし、これがひとたび明暗差の激しい被写体を写すと
シャドー部がつぶれてしまう傾向となり
辛い想いをすることにもなります。

以前、このシャドー部のつぶれについては、
ズミルックスR35mmf1.4と比較することになったんですが、
その差はあまりに大きく、ため息が出てしまいます。

また、アポズミクロンR90mmf2 ASPH.との比較では
その解像力で及ばず、一歩も二歩も譲らなければなりません。


こうしてライカの標準ズームは
確実に単焦点と差が開いていますが、
それを承知でも、
使う頻度は高く、まるで主砲のように使っているときがあります。
ライカとニコンの標準ズームの比較
ライカ バリオエルマリートR28-90mmf2.8-4.5ASPH.
ライカとニコンの標準ズームレンズの比較。
ニコンのAF-Sニッコール28-70mmf2.8EDの方が鏡胴などの造りはいい感じ。
さすがニコンだと感じます。

それに対し、最近のライカの鏡胴部やヘリコイドの動きは良くありません。
描写はというと、
ニコンよりもライカに軍配が上がります。

ニコンのこの時代のズームは望遠域が弱いのと
全体にコントラストが悪く、抜けが悪いです。
(*注;AF-Sニッコール28-70mmf2.8EDの抜けが悪いとかコントラストが悪いとか書いていますが、一般的なズームや古い時代のレンズに比べると、これでもずいぶんとコントラストを高めた設計になっていると思います。
 それゆえ、ライカのバリオエルマリートR28-90mmf2.8-4.5ASPH.はコントラストの高めであるAF-Sニッコール28-70mmf2.8EDよりも更にコントラストが高いレンズであると言っています。)

その一方で、バリオエルマリートR28-90mmf2.8-4.5ASPH.は
コントラスト高く、抜けも抜群によいです。

解像力よりも、コントラストの高さを優先して造ったレンズだと思います。

レンズ前部から見たところです。

レンズの説明書によると
レンズ構成は8群11枚構成で

11枚のレンズのうち
2枚に非球面レンズ2枚に高屈折率硝子3枚に異常部分分散硝子を使っているそうです。

これだけの高級な硝子のコンビネーションをもってしても
ズームとなると、その描写は全く単焦点に及ばないのが現実のようです。
バリオエルマリートR28-90mmf2.8-4.5ASPH.カラー作例 1
上の写真は、岩手県 早池峰山麓で撮影したもので、写真ポストカードにしています。
レンズはバリオエルマリートR28-90mmf2.8-4.5ASPH.です。

この写真などを見ると、解像感はなく、
コントラストの良い、まるで絵のような仕上がりを実感します。

実は、僕たちはこうした写真が好きで、
解像力よりも好ましいと思っています。
バリオエルマリートR28-90mmf2.8-4.5ASPH.カラー作例 2
これは青森県の十和田湖で写したものですが、
コントラスト高く見事に出ています。
よく見ると、中央右側に白い船が写っていますが
このレンズの解像力のないせいで、
完全には分解されていません。
絵と写真の中間のような描写でしょうか。