撮影機材
ズミルックスR50mmf1.4 E60タイプ
ズミルックスR50mmf1.4 E60タイプ

丘のうえの小さな写真館では、R型ライカの標準レンズとして
最も新しいタイプの50mmを使っています。

このレンズにたどり着くまでには
カナダ製のズミクロンR50mmf2、旧型の先細のズミクロンR50mmf2
そして一代前のズミルックスR50mmf1.4を試験的に使い、
この最新の50mmにたどり着きました。

こうした長い苦労が必要だったわけは、
50mというレンズの性格上、大風景を撮ることが多く
そのためにはシャープで、解像力の高いレンズがどうしても必要でした。

しかし、試験的に使ってみた
ズミクロンR50mmや一代前のズミルックスR50mmf1.4は
絞りF5.6まで絞ったとしても、十分満足できる画質(シャープさと解像力という点について)
に達することはありませんでした。

そこで、僕はここでも路頭に迷いましたが、
思い切って、最後に残された道である
最新のズミルックスR50mmf1.4を使ってみることにしました。

そして実際に使ってみると、この最新のズミルックスR50mmf1.4は
僕の期待を大きく上回る品質を見せてくれました。
都合、テストは北海道支笏湖畔で冬に行い、
湖畔林の幹の解像力をルーペで見てチェックしました。

すると、本レンズの解像力はマクロエルマリートR60mmと同じ水準に達しており
50mmも60mmで撮られた湖畔林の幹は
その解像力、シャープネスどちらもボケは全くなく、模様や筋まできちんと描写していました。

こうした中間絞り値での確実な描写をする50mmに出会った僕は
ますます風景をR型ライカでやっていけるという実感をつかんだのです。

しかし、本レンズは中間絞りでの確実な描写をするだけでなく
絞りをF1.4まで開けて撮れば、柔らかな描写が美しいレンズとなり
うんうん、これでいい、これでいい」って、うなずいてしまうのです。

思えば、僕が写真を始めたとき、一番最初に使ったレンズは
ニッコール50mmf1.4というレンズでした。
僕はこのレンズのコントラストの悪さ(フレアの多さ)が嫌で、
その後明るいレンズをことごとく信用しなくなりました。

しかし、ライカは別です。
明るいレンズでもハッとするほど見事なコントラストと柔らかさの両立。
そして絞ればカチッと来るズミルックスR50mmf1.4 E60タイプ。

写真を始めて20年たった今
始めて自分の理想とする標準レンズに出会ったと思います。

最後になりましたが、
個体差、時代的な問題かもしれませんが本レンズは少しカラーバランスが
マゼンタに寄っています。
ズミルックスR50mmf1.4 のカラー作例 1
上の写真は北海道積丹半島の当丸峠の冬の様子をズミルックスR50mmf1.4 E60タイプで撮ったものです。
僕は50mmを後ろをぼかして撮る近接撮影よりも
こうした大きな風景に使うことが多いので、シャープ目のレンズを必要としていました。

それで、ライカでもずいぶんと50mm行脚しましたが、
めでたく満足のいく本レンズと出会ったのです。

上の写真はフジフィルムのベルビア50というフィルムで撮っていますが、
ライカのこのレンズとフジフィルムのベルビア50を組み合わせると
本当に見事なシャープで解像力の高い描写になります。

普段はコダックのE100VSという粒子の荒いフィルムを使っていますので
たまに富士のベルビアなどを使うとハッと驚いてしまうほどシャープに感じられます。

できうるなら、こうした大風景にライカを使うのなら
ベルビアとE100VSが使い分けれれれば一番良いのでしょうね。
ズミルックスR50mmf1.4 のカラー作例 2
次の作例は新作ポストカードにもなった
『永遠の情景』というポストカード作品から。
この写真は北海道七飯町の大沼小沼を日暮山というところから撮影しています。
大沼小沼は折戸川という川が駒ヶ岳の噴火によって堰き止められてできた沼なんですが
そうした様子がこの写真見てもよくわかります。
画面左側に噴火の張本人である駒ヶ岳があります。

さて、ズミルックスR50mmf1.4 E60タイプの描写についてですが
まず描写よりも前に、この明るいレンズの見え方について書きます。

ズミルックスR50mmなどF1.4のレンズは
こうした明るい風景に使うと、肉眼で見るよりも
レンズを通して見る方が明るく見えてしまいます。

そうすると、どう露出して良いかとまどってしまうことがあります。
中判を使っていた時などf4.5のズームなどを常用していたので
f4.5で見る感覚とf1.4で見る感覚とのギャップになかなかついていっていないのが現状です。

でもそんなときは一度カメラのファインダーから目を離して
冷静に風景を見つめ直して
それでもう一度カメラのファインダーを見て
一番大事にしたいところから部分測光で露出を順次決めていきます。
(ライカでは今まで使っていたニコンFE2とは違って
部分測光が使えるという大きなメリットがあるので、
こうした光の状態が複雑な風景にはより入念に露出決定ができるようになりました。)

そして見た目の明るさに対して惑わされることなく
いたって冷静に理論的に露出を決めていく…

次に、描写ですが、
このレンズのシャープネスは本当に申し分のないものです。
ただシャープさは申し分ないですが
それ以上のものはあまり感じないのが正直なところです。
例えば、アポマクロエルマリートR100mmf2.8のように墨が入るとかです。

ライカにはシャープに写るだけではなくて
それ以上の微妙なニュアンスを求めてしまうわけです。
ただこのことは今の僕がわからないだけかもしれません。

いつか
このレンズの微妙なニュアンスがわかりましたら
また書かせていただきたいと思います。