上の写真で、風呂おけの底に描かれた亀の模様は見えるだろうか?実はこのおけは美瑛町にある銭湯でいただいたものである。
ある夏のこと、北海道 美瑛町に丘の風景を撮りに来ていた僕は、街に2軒残る小さな銭湯に入った。
その時、この亀のおけに出会い、あまりの懐かしさに涙した。
このおけは自分が小さい頃、神戸の下町の銭湯で憧れであった亀印のおけではないか。亀印のこのおけはあの頃でもなかなか数が少なく、めったに手にとって使えなかったのである。
その憧れであった亀印の風呂おけと、25年ぶりになんとこの北海道という銭湯文化の薄い北の地で出会ったのである。しかも、その出会いは劇的、運命的な出会いをも含んでいた。
僕はこの出会いの感動を番台に座っていた銭湯の女将さんに告げた。すると、彼女が言うに、「このおけは近々廃棄処分とし、新しく入れ替える」「もしほしかったらあげるよ!」というのである。
それで、僕は大喜びして、一月たったらおけを取りに来ることを約束して銭湯を出た。
そして一ヶ月後、約束通りおけを取りに行くと、女将さんはちゃんと3個とっていてくれて、僕は3個の風呂桶を受け取って、意気揚々と帰路に就くことができた。
こうした風呂おけをその後ずっと愛用していることは言うまでもなく、3個あるから孫の代まで使えることになる。(孫にその価値がわかるかどうか不明だが。)