笹の分布は朝鮮半島から千島、サハリンにかけて分布すると言われていますが
その分布の中心は日本、特に北海道でその種類も多い。
主としてクマザサ、チシマザサそしてミヤコザサなどがああります。
函館近郊で普通に見られるのはクマザサで、その高さは2m以下、
遊楽部岳や狩場山方面に行くとなぜかよく見られるチシマザサは高さは3mを越えます。
このチシマザサの新梢は地元で“タケノコ”と呼ばれ、
薄く上品な味でなかなかおいしいものです。
ちょうど道南では5月下旬頃から出始めるので、
みんな大いにはりきって収穫に出かけていきます。
本州で育ったぼくにとってタケノコと言えば孟宗タケのことで、
小さい頃山に採りに行った記憶があります。
しかし、北海道でタケノコ採りというと、このチシマザサの新梢を採ることで、
孟宗タケよりも上品な味わいがあってぼくはおいしいと思います。
クマザサも最近クマザサ健康茶として売りに出されていて、
ぼくはとても嬉しく思います。
大いにがんばって飲んでもらいたいものです。
あのクマザサを退治するには、みんなで力を合わせて食ってしまうか飲むしかないのでしょう。
今年慶ちゃんは薬草茶にチャレンジするそうなので、
ふんだんにクマザサをブレンドしたいと思います。
そのクマザサが今年、道南の至る所で枯れているのが目につきます。
まだ他の人に確かめたわけではありませんがどう見ても枯れているようです。
これがもしかしたらササ枯れ現象なのかもしれないと思っています。
ササ枯れはササに寿命が来て枯れる現象で、
ササは地下茎でつながったクローンなので寿命が来ると辺り一帯のササが枯れるので、
あ!枯れてる。というのがよくわかるのです。
このササ枯れは数十年に一度の頻度で起こり、
このササ枯れを利用して、樹木の子供たちは生育のチャンスを手に入れます。
まず、林床にササが生えているとササの中は、
日なたの明るさの1%以下になり、
日陰に強いと言われる樹種でも数年の内に枯れてしまいます。
そこで、ササが一斉に枯れると回復するのに十年以上の時間がかかるので、
その間に樹木の種は発芽して生長して、ササより大きくなって光競争に勝つわけです。
そして、例えば樹木の寿命が百年とすれば、
その樹木が子孫を残すチャンスは数十年に一度ササが枯れたその時に訪れるわけで、
一生の内にほんの数回しかないことになります。
樹木はこうして、少ないチャンスをものにしつつ、
ゆっくりゆっくりと、分布を広げていきます。
樹木に対しても脅威となるササですが、
湿原に対しても脅威になります。
少しでも乾燥するとすかさず入り込んで、
一面をササ原にしてしまいます。
人為的な影響もあるのですが、湿原はいずれ乾燥して消滅する運命だから、
いずれ湿原はササで覆い尽くされる時が必ず来るのです。
そして、その後はゆっくりとゆっくりと樹木が生え始めいずれ森になっていくのかもしれない。
こうした自然界の流れはぼくたち人間の時間感覚でつかめるようで、
なかなかつかめないものです。
しかし、こういった自然界の時の流れは遠い外国のことではなく、
ぼくたちのごく身近で昔から、そしてこれからも続いて行くだろうことです。
この時の流れを体に実感として感じることができるとしたら、
本当にもしできたら、自分の人生のことも少しわかるような気がするのです。
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