撮影機材 三脚
三 脚
ジッツオG1345三脚にハッセルブラッド503cxを同架して撮影する。三脚は風景写真のかなめである。
 三脚は写真の要(かなめ)である。丈夫にできた三脚を使えば、撮影時のぶれを最小限に止めることができる。
風景写真を始めた当初、僕は6×7判のカメラを進められ、6×7判を使うようになったが、
6×7判の重さや使いにくさから僕は6×4.5判を使うようになって行く。
マミヤのM6451000sである。
 巨大で使いにくい6×7判を無理して使っていくことよりも、
画面サイズが例え小さくても6×4.5判を絶対にぶらさないで写すことができれば、
決して6×7判に引けをとるものではない、という確信から
僕は6×7判を手放し、6×4.5判の道を歩み始める。
 この自信の背景には、ジッツオの中型三脚への信頼があった。
ジッツオの中型三脚にマミヤM645を同架すれば、
1000に一つのブレによるミスを起こさずに撮影できる自信があった。
 このようなジッツオ三脚への絶対的な信頼はハッセルやライカへ撮影機材を変更してからも踏襲して、
今なおジッツオ三脚は健在で、僕の撮影のしっかりした基礎を支えてくれている。
 今、ハッセル用には、ジッツオのG1345という中型三脚に、
旧式の523Bという雲台をつけて使っている。 
ハッセルはマミヤM645の時よりも撮影ミスは少なくはないが、
それでもかなりの率で失敗は防ぐことができる。
このことは、ジッツオのG1345の三脚の堅牢さによることが多い。
以下に、このジッツオG1345三脚の優れた点を挙げていくので、
風景を志す方は、カメラやレンズのこと以上に、参考にしていただければ、と思ってこれを記します。
★ジッツオ GITZO G1345三脚★
ジッツオG1345三脚と旧型の523B雲台
 まず、この三脚の優れた点は、地面との接点である石突きが標準でスパイクになっているという点です。
この石突きがスパイクであることは、軟弱地が多い風景写真にはとても重要でありがたいことです。
次に、センターコラム(雲台を挙げたり下げたりするための中央の棒のこと)がありません。
このセンターコラムがあると、微妙な上下の調節はできるのですが、
その代わり三脚の命である頑丈さがここで失われます。
そして、同時にこのセンターコラムがないことで、最低地上高がとても低くとることが出来、
小さな花などの撮影にとても便利です。
 次に、雲台を乗せる三脚のプレートの幅が広いので、これも頑丈さに貢献しています。
また、一番外側のパイプにホームセンターで売られている結露防止のためのテープを貼り、
金属から伝わってくる冷たさを防いでいます。
 その他、旧来のジッツオの三脚は一番太いパイプの付け根をかしめており、
長年使用していると、そこがガタの原因になってきましたが、
新製品ではそこを強力な接着剤で接続しており、全くガタになりません。

 次に雲台ですが、まずは、旧型のジッツオのパン棒は実に力が入れやすい形状で、
それと同時にほんのわずかな力でカチッと止めることができるのも大きな魅力です。
また、前方の荷重が増える重い望遠レンズなどの重さに耐えられるように、
前荷重に対してテンションがかけれるクランプが付いているのもありがたい機構です。
この機構は大型の望遠レンズで動きのある対象を撮影するときにも有効です。

★ジッツオ GITZO G1228三脚★
ジッツオG1345(アルミ製)とジッツオG1228(カーボン製)
 続いて、ジッツオG1228という名前の中型〜小型のカーボン三脚について説明します。
 この三脚はカーボンを使用し、自由雲台(マグネシウム製)をつけると、
その重量は2kgもない軽量かつ頑丈な三脚になります。
僕はこの三脚を今まで普段はニコン用に使い、山岳ではハッセルブラッドまでこの三脚に同架してきました。 G1345のように石のように頑丈とまでは言いませんが、
このクラスの三脚としては画期的な軽量さと堅牢さを兼ね備えています。
三脚は重ければ良いと思っている人も多いかも知れませんが、
三脚は重くても振動の吸収や強度が不足しているものもたくさんあり、
ジッツオの魅力はその軽量さと強度をギリギリまで求めているところにあります。
 また、この組み合わせでは、G1275Mという名前の自由雲台の使いやすさも特筆できます。
それまでの自由雲台のような前への傾斜の制限などもなく、
クランプを緩めてもグラッと来るような機構になっていないのが何と言っても大きな魅力です。
 ただ、ライカの280mmF4クラスの使用で、少し力不足を感じることもあります。
その時はミラーアップして撮影することである程度対処しています。
しかし、このような重量級のレンズを使用する時には、正直言って、
もうワンクラス上の三脚がほしくなります。
このように、前への傾斜が簡単にできることはこの雲台の特筆できる点であり、従来の雲台のようにクランプを緩めてもガクンとなったりしないのもすばらしい!
G1275M雲台。マグネシウム製。写真にあるクランプは改良して力が込めやすくしている。純正品は力が入りにくい。
 青矢印の接合部が回転して前や後ろに傾斜させる。ここが滑らかで、かつ適度なテンションがかかり、申し分がない。
 しかも、ガタなどもほとんど発生しないので、強度的にも何ら問題がない。すばらしい!
僕は標準コラムをはずし、上の写真のようにショートコラムへと変更している。このことで、最低地上高がとても低くなり、小さな花などの撮影にはとても便利である。反面、最高地上高の確保は犠牲になるが、その使用頻度により僕はショートコラムを選んだ。ただし、G1345のようにコラムが無いわけではないので、この部分で強度が失われるため、石のような固さは求められない。
以上のことを要約し、以下に三脚選びの注意点を記します。

 まず、三脚は重さで選ぶ人もおられますが、三脚は堅牢さで選ぶべきで、
重ければそれだけで性能がよいというわけではありません。
軽くても、材質や加工精度などの向上で、強度の高い三脚があります。
 また、雲台も三脚を選ぶときの重要な要素ですが、これも良く吟味して下さい。
クランプを緩めた途端、ぐらぐらになるような自由雲台を選んではいけませんし、
自由雲台といいながら、思う方向に動かせない雲台もたくさんありますから、注意して下さい。
 また、3WAYの雲台であれば、パン棒の締まり具合などが要注意事項です。
力一杯ぎゅ〜っと締めるような感じがする雲台はダメな雲台です。
加工精度が高いと、ほんの少し締めるだけで嘘のようにカチッと止まります。
こういったことは、写真のブレ防止にもなりますが、体の疲労の防止にもなります。
グニャグニャとした強度のない三脚を用いて撮影していると、
なんだか手の筋肉がいらいらしてきて、長続きしなくなります。ご注意下さい!