丘のうえの小さな写真館 北国通信の世界
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第117号-3 北国通信『北海道で過ごす6月の風景から』 2006年6月
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★ ポストカード倉庫完成 ★
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この4月から作り始めてきたポストカード倉庫がようやく完成した。 最後まで何色に塗るか迷ったが、全体はこげ茶とし、その縁取りは薄く黄色の入った白とし、ドアは緑に塗った。 そして最後にシンボルマークは彗星にした。 彗星こそ人の人生のそれと重なるからである。 広さはほんの6畳ほどの空間でしかないが、僕たちにとっては貴重な空間になった。 また、手前のプンゲンストウヒに似た樅の木は実はコロラドモミ。コンコロールモミとも言う。 その葉先が柔らかであるので、トウヒ属の木のような刺々しさがない、やさしい樅の木である。 |
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ポストカード倉庫と合わせて外周の柵も新調した
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★ クジャク蝶 ★
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今年、2006年のカレンダー8月のページの日付欄下には、慶ちゃんの描くクジャク蝶の絵が載っている。 これは昨年の8月にすぐ目の前を流れる小さな沢のくぼみで、無数のクジャク蝶が葉に止まっているのを見つけて描いたものだった。 まさか、そのクジャク蝶(クジャクタテハ)の幼虫に巡り会えるとは思ってもよらなかった。 錦織のように美しい蝶に対し、その幼虫は濃い黒に紺色のビロードのような色彩を持つケムシであった。 全く姿の違う両者は結びつきがたいが、それは「変身」の妙味というところか。それにしても、遠く旅の空とはまた違った小さな発見に心躍るひとときであった。 |
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★ すずめの子育て ★
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丘のうえの小さな写真館には二つの保育所がある。一つは写真の巣箱であり、もう一つは換気扇の入り口である。 スズメが激減している北海道ではスズメをもっと大事にしたいと思うのだが、何とも幸福なことにここでは今年2度目の子育てが始まった。 昨日からこの巣箱の中でひなの産声が上がった。 なんと幸福な気持ちに満たされるのだろう。 夏だというのにここに滞留しながらも良いことはあるものである。 体が二つあって、じっと同じところの季節を感じることと、季節の流れの中をさすらうことができたらどんなに良いだろう! |
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★ 月の撮影 ★
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最後に月の撮影について。 ライカで月を撮影する構想はずっと前からあった。しかし、それを実現できたのはこの6月になってからである。 今まで、普段使い慣れないオリンパスのカメラを用い、月の撮影をやっていた時があったが、その時月の撮影にオリンパスを用いることの困難さを僕は思い知った。 月を撮るためにオリンパスは最高のカメラであるのだが、それはオリンパスに使い慣れた人の話であって、使い慣れない僕にとっては、苦しみでさえあった。 そんな苦しみを感じるのであるから、月の撮影から遠ざかることは当然のことであり、僕はしばらく月の撮影から遠ざかっていた。 当時、使い慣れたニコンを使えば良さそうなのだが、残念ながらニコンでは月の撮影ができず、それが問題をより大きくしていた。 しかし、ライカを知るに連れて、データ上、ライカなら月を撮影できるに違いないということが予想できた。しかも、自分のシステムをライカに移行していくときであったために、ライカが月の撮影までもこなしてくれると言うことは、使い慣れたカメラによって月までも写せるという、願ったりかなったりのことであって、僕はそれを強く望んでいた。 そして、とうとう全ての月の撮影のための道具が揃い、とうとうこの6月にチャレンジしたのである。 結果は、思うよりずっと良かった。ライカでは絶対の自信を持って月の撮影に望めることを掴んだのである。 データ上ライカは、確かに月の撮影をするための条件は全て備えている。しかし、実際にやってみなければわからないはずである。 しかし、結果は完璧であり、これで思う存分月を撮影できることとなった。しかも、日常の延長線上で何のストレスもなくである!! 本当はこうして撮影した月の白黒写真を白黒作品として、北国通信で送ろう!と考えたのだが、慶ちゃんから待ったを言われた。 もっと、完璧なものを撮影できてからにするべきだというのである。僕もそう思った。何も焦ることはない。もっと完璧なシーイングの夜に息を潜めて撮った月を送ればよいと思った。 |
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★ 追記 ★
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どうしてライカを使わなければ月が撮れないのか?と思うでしょう。 月を撮るということは、焦点距離が2000mm以上にもなり、わずかなぶれや、ピントの問題や露出の問題が出てきます。こうした問題に対して、ライカ、特にR8は完璧に答えてくれるのです。 こうした、望遠撮影の場合には撮影の前にミラーを上げられることや、ファインダースクリーンを換えられることやスポット測光という月面の光部だけを測定できることや、月の明かりによって迷光が生じない見事な視野などが必要になります。ライカはそのどの条件もよく満たしており、よく基本が考えられたカメラであることがわかります。 国産が競い合うばかりに置き忘れていったカメラの「基本」を今なお忠実に守り続けるカメラこそライカであり、僕はそんなカメラを長いこと求めていたのでしょう。 しかし、一眼レフのライカは日本ではあまりにも人気がなく、新品とかわらないのに定価の30%ほどの値段になっているのが現状です。 こうしたライカをひっさげて、来るべく今年の夏を迎え撃つために最後の準備を進めている最近です。 今後にますますご期待下さいますように!どうぞよろしく! |
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