風は旅人である
どこから吹いてきて、どこへ吹きすぎるのか
誰も知らない…
僕もまた風のようにどこから来てどこへ行くのか
それは誰も知らない。
だが、人は誰でもそうした運命を担う。
そうした風のように生きることを自分の運命と自覚する僕は
長年、風のように撮ることを理想にしてきました。
そう、風のように流ちょうに、滑らかに、滑るように撮っていく。
そして風のようにそこを去って
またさらなる自由にむかって旅を続ける…。
こうした撮影の方法を理想としながらも
僕は画質を維持するために長いこと中判カメラにこだわってきました。
しかし、大雪山の撮影に
ニコンという小型カメラ(35mm判)を使うことが多くなり、
そのフットワークの軽さにすっかり惚れ込んでしまいました。
例えば、花だけでなく今まで撮れなかった蝶やバッタなどまでも
生き生きと撮れるようになったからです。
しかし、そのニコンで撮った写真の一部の結果を写真展で飾ったとき
ある人からその画質が悪いとの指摘を受け、
僕はそれを「重大なこと」と受け止めて
自分の写真の画質について熟考していきます。
その結果、僕はニコンやハッセルブラッドまでやめ、
R型ライカへと撮影機材を移していきました。
その結果、画質の高さとフットワークの軽さの両立が可能となり、
僕はここに、理想の撮影スタンス、
「風のように撮ること」が可能になったのだと思います。
そして、風のように軽やかに行く中で
気がつかれないでそこにある風景と僕の心との出合いの中で
風景の暖かさとか、幸福な空気感とか美しさというものをを写したいと思います。
そして、そうした暖かさとか、幸福感とか、美しさと呼ぶ風景がうまく撮れたら
それを写真に変えて、持ち帰り
一人でも多くの人と、そのことを分かち合えたら素晴らしいこと、
と思って写真やポストカードや本やカレンダーを制作します。
中でもポストカードは素晴らしい。
買って下さった人から送られる人へと幸せが伝えられていくからです。
こうして世界の幸せな風景が広まって
皆が幸福な気持ちに陶酔できるようになることが僕の夢です。
僕はそのために写真を撮ります。
ですから、丘のうえの小さな写真館の写真への基本姿勢は
“風のように撮る中で出会う無数の感動を一人でも多くの人と分かち合うこと”
そう思って撮影と制作の日々を送っています。
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