館 過去の撮影機材 
マミヤMamiyaM645 1000s
10年以上、苦楽を共にしてきたマミヤMamiyaM6451000sと55-110mmf4.5N

目をつむっても、各ダイヤルを俊敏に操作できました。

マミヤMamiyaM645 交換レンズ群
SEKOR 35mm F3.5N
SEKOR 45mm F2.8N
SEKOR 55-110mm F4.5N
SEKOR ULD105-210mm F4.5N
SEKOR A150mm F2.8N
SEKOR A200mm F2.8 APO
SEKOR 300mm F5.6N ULD
SEKOR A300mm F2.8 APO
SEKOR 24mm F4 N ULD fish-eye
SEKOR 55mm F2.8N
SEKOR 80mm F1.9c
SEKOR 80mm f4N マクロ
SEKOR A120mm F4 マクロ
マミヤMamiyaM645との出合い
大学時代ニコンF2で写真を始めたんですが、
少し写真がわかってくると、風景にはもう少し大きめのフィルムが使いたくなってきていました。
その想いはもう押さえきれなくなり、いても立ってもいられないほど大きく膨らんでいました。
そんなとき
今から、20年ほど前ですが、
函館のカメラ店の中古コーナーの片隅で
このカメラマミヤMamiyaM645と出会うことになります。

その時はボデーに旧型の55mm,80mm,300mmのレンズがついて10万円でしたが
当時の僕には、10万円といえば、そう簡単には買うことができず、
父に相談することにしました。
すると、父は快く引き受けてくれて、このカメラを買うことができたのです。
こうして僕はめでたく中判カメラデビューを果たすわけですが
 最初は使い方もわからないまま、あちこちに持って行き、
ペンタプリズムを通さないで見る、すっきりとした見え方にすっかり惚れて、
それ以来、15年の長きにわたりマミヤMamiyaM645でやってきました。

そして、15年間で約12万枚の撮影をこなしてきたわけです。
それ程までに完全に信じていたわけです。
それはおそらくシャッターを切ったときのしびれるような快感のせいだと思いますし、
同時にシャッターを切ったときそのショックを完全に防ぎ、
絶対にぶれなければ、大きくて使いにくい6×7判などを持ち出す必要がないという
絶対の信頼感に基づいていました。
 
欠点はというと、自然の中でウエストレベルファインダーを使うと、
ハイアングルが撮れず、困ることが多いことだけでした。
それで、何度となくこのスタイルを見直そうと試みましたが、
どうしても、この方法(
ウエストレベルファインダーを使う方法)を否定できませんでした。
 また、ペンタプリズムを通してみると、
目で見るものと違って見えてしまうのです。
こうしてウエストレベルファインダーもダメ、プリズムファインダーを通してもダメ
という思いは永く続き、
写真を撮る上で一番大切と思っているこの「見え方」に納得ができないことが
僕の最大の悩み事であったのです。
 
とにかく、このカメラと出会ってから僕の写真家業が始まりました。
父があの時、買うことを引き受けてくれていなかったら、今のぼくはありませんでした。
お金をためているうちに、誰か他の人に買われていって、
僕はきっと路頭に迷っていたに違いありません。
そう思って、父と長いこと僕を支えてくれたマミヤM645に感謝します。
マミヤMamiyaM645 1000sの魅力
 最近、フィルムを使うカメラの人気が衰えて、
デジタルカメラに多くの人が移行していきます。
その中で、マミヤ6451000sなどはその人気を失い、
中古市場などではただ同然の扱いを受けています。
しかし、フィルムを使っての仕上がりは、
デジタルでは得られない独特の雰囲気があり、この雰囲気を大切にできる人には
中判フィルムカメラはすばらしいものなのです。

また、マミヤM645には
比較的明るいレンズが揃っていることも魅力です。
通常はズームレンズを使っても
f2.8クラスの単焦点レンズがあるので、星の撮影など夜の撮影にもかなり有効で、
しかも6×4.5判のフィルムの大きさがあるので、
高感度フィルムを用いても、ほぼ満足のいく画質が得られるのです。

こうしたフィルム面積の大きさは
35mm判フィルムに対してフィルム面積にしてわずかに3倍ほどですが、
ただそれだけのことで、画質的には大きな有利点となって働き、
鑑賞に堪えられるプリントが簡単に得られるわけです。

 では、6×7判などと比べると
画質的に劣るかと、いうと、
通常98%のニーズとなる、全紙サイズやA2程度への拡大では
6×4.5判でぎりぎりまかなえ、
無理して使いにくい6×7判を用いるよりも
良い結果が得られると思います。

また、フィルム整理の都合でも
6×4.5判フィルムは大きさ的に大変扱いやすく
また、35mm判よりもフィルム段階で大変見やすく
6×6判よりも仕上がりがイメージしやすいので
フィルムを扱う上では、最も適した大きさだと思います。

そんな6×4.5フィルムをコンスタントに
そこそこの画質で低価格で撮影させてくれる
マミヤM645はたいへん魅力的なカメラだと思います。
マミヤMamiyaM645 1000sからハッセルブラッドへ
 なぜ、あれほど信じていたマミヤM645を使わなくなったのか。
その理由の一番大きな点は、
僕の場合、マミヤM645が嫌というのではなく、
ハッセルブラッドへの憧れが一番大きな理由でした。

もちろん全面マットのファインダースクリーンの入手ができなくなったこととか、
ハッセルに比べて、ファインダースクリーンが暗い
ということもその理由の中にありました。

ハッセルには、ミノルタが開発したアキュートマットスクリーンがあって、
このスクリーンを通して見る世界はそれは美しく世界が輝いて見えるのです。
それに比べれば、マミヤのファインダーは暗く、
どんなことをしてもこの暗さから逃げることができないのです。

 次に、マミヤM645を使わなくなった理由として、
望遠レンズをもっと多用したいという想いがありました。

マミヤMamiyaM645では望遠というと
まず300mmf5.6を一番使ったんですが
このレンズは背景をぼかす感じの写真を撮ろうとすると
背景のボケがぐるぐるまきになって、すごく嫌な感じになりました。

また、超望遠レンズの500mmレンズは色収差が大きすぎて
切れ味がなかったのも嫌でした。

それで、ハッセルブラッドにある
テレテッサー350mmやテレアポテッサー500mmのレンズに
憧れを抱くようになります。
それらはどちらもF値を押さえて、軽量化され、
普段に使える望遠レンズに仕上がっていたことが最大の魅力でした。

しかもそれに加え、テレアポテッサー500mmf8は驚くほどのコントラストとシャープさで
僕を魅了しました。
こうした望遠レンズの日常化と写真の刺激的な画質を求めて
僕はハッセルブラッドへと向かいます。

また、その頃から白黒の撮影をするようになり、
ハッセルブラッドのマガジンの存在は魅力的でした。

確かにマミヤMamiyaM645でもスーパーやプロでもマガジンは使えたんですが
マミヤMamiyaM645スーパーやプロのあのプラスティック的な感触がいやだったのです。

こんな時、タイミング良く、ある方からの資金的な援助があり
僕はハッセルブラッド一式を購入。
マミヤMamiyaM645から順々にハッセルブラッドへと変わっていきました。

マミヤMamiyaM645 1000sの長所
◆ミラーを上げてシャッターを押した時の快感は最高で、見事なフォーカルプレーンシャッターである。丈夫な三脚があれば、レリーズが無くとも、絶対にぶれることがない。

◆比較的明るいレンズが揃っている。

ミラーアップが何度でもやりなおせますペンタックス67やハッセルブラッドのように一度ミラーを上げたら、写すまで戻って来ないようなおかしな機構になっていません。

多重露出が極めて簡単にできる。

◆電子シャッターだが、ほとんど電池を必要としない。

シャッターが上からと前からの二ケ所ついている。三脚につけた時など上からのシャッターの有り難さを実感できる。そのため、レリーズを使って写す必要がない。

◆あと、B(バルブ)以外にTとして使える機構がある。このことにより、レリーズなしで長時間露出ができる。   しかも長時間露出にほとんど電池を必要としない。

電池残量確認ボタンを使えば、電池がなくともシャッターを解除することができる。ということは、最終的に電池がなくても、1秒以上の露出には対応できる。

◆また、その解除ボタンのおかげで、寒さには最も強いカメラとも言える。これは、ブローニーフィルムを使用することとも関係している。ブローニーフィルムは、35mmフィルムのように寒さでパリン!と折れたりしない。

フィルムホルダーを取り外して、フィルムを装填するので、ペンタックス67やマミヤ7のようにフィルム交換で苦労しない。

◆優秀な魚眼レンズの24mm F4 N ULD fish-eyeが用意されている。

◆優秀なA300mm F2.8 APOレンズが用意されている。

◆非常に優秀な80mm f4N マクロが用意されている。

マミヤMamiyaM645 1000sの欠点
■ハッセルブラッドやマミヤRB67、RZ67、ペンタックス67、645などと比較して、ファインダーが暗い。

■プリズムファインダーが暗く、精度も悪く、露出計など役に立たなくなっている。

■古くなっているので、低速シャッターが極端に遅くなっているものが多い。

■ハッセルブラッドなどと比較して必要以上に重く感じる。

■M645からM6451000sに変わり、シャッターダイアルに変なロック機構がついて、シャッターダイアルが回しにくくなった。

■全面マットスクリーンが手に入らなくなった。

レンズとの連動ピンの強度がない。

■レンズマウント、カメラマウント部の加工精度が悪く、また全体に強度がなくて、よほど丁寧に使わないと長もちがしない。ニコンやハッセルブラッド、ライカなどを使っている人には想像を絶するだろう。

■レンズのガラスの材質が悪く、長年使っていると、カラーバランスが崩れる。できるだけ紫外線や湿度から守ってやらねばならない。

■1.4倍のテレコンバーターが用意されていない。

■接写リングが80mm用に限定されて、他のレンズでは使えない。

■6×4.5判なのだが、15枚しか撮れない。16枚撮れるべきである。

■一部レンズを除いて、レンズマウントが柔らかいアルミ製のために、すぐに削れてしまい、ガタの原因となる。鏡胴内部の処理など実に緻密な造りもするくせに、マミヤはなぜかおかしなところで手を抜く。

■一部レンズを除いて、レンズの描写がドライでギスギスする。シャープさを求めすぎている。

■マミヤはAFやデジタルに移行する時点で、従来のMFレンズを見捨てる格好となった。これでは、マミヤM645において、フィルムを使用していく、継続性に欠ける。

マミヤMamiyaM645 レンズ
マミヤMamiyaM645の交換レンズについてその外観を説明します。
中古市場ではただ同然の扱いを受けていますが、
性能的に、決して悪いものではありませんので、参考になりましたら幸いです。

24mm F4 N ULD fish-eye
マミヤMamiyaM645のレンズの中で特に優秀なのは24mm F4 N ULD fish-eyeで、見事な写りを誇ります。マミヤの傑作レンズの一本だと思います。ただ、ハッセルブラッドのフィッシュアイディスタゴンC30mmf3,5に比べ逆光には弱いレンズです。

SEKOR 80mm f4N
次に標準マクロの80mmマクロですが、このレンズはフィッシュアイ24mmf4ULDと並んでマミヤMamiyaM645の中ではとても優秀なレンズです。滑らかそのもののその描写力は本当に見事です。

SEKOR A120mm F4 マクロ
一方、マクロ80mmに比べ、SEKOR A120mm F4 マクロは硬調なレンズで、ハッセルブラッドのマクロプラナーCF120mmと比べてしまうと、見劣りしてしまいます。

SEKOR 80mm F1.9c
次に、SEKOR 80mm F1.9c という大口径標準レンズも優秀です。開放ではとんでもないほど盛大なコマ収差や非点収差に悩まされますが、F2.8まで絞ると生まれ変わります。ものすごくシャープになるのです。このことは星を撮影すれば一目瞭然です。驚くほど星像は細かく、どこまでも微光星が写るようになります。ただ、ハッセルブラッドのプラナーCF80mmf2,8と比べてしまうと、滑らかさに欠けます。

SEKOR ULD105-210mm F4.5N
このレンズはズームなのですが、実にシャープなレンズで、そのシャープさのみならず、階調の良さにも驚かされます。その点、SEKOR 55-110mm F4.5Nとは格が違います。ただし、少し新品時から黄色にカラーバランスが偏っているレンズなので、黄色っぽい写りが嫌な方には向きません。

SEKOR A150mm F2.8
 
シャープで周辺光量も充分で、カラーバランスも良くて、文句のないレンズですが、うるさく言うと、ドライな描写をします。非点収差の補正をもう少し真面目にやるべきです。
 同じ焦点距離に150mm F3.5のレンズもあるのですが、こちらは周辺光量が極端に不足気味ですが、抜けの良い写りをしてくれます。

SEKOR A200mm F2.8APO
階調豊かで滑らかに写りますが、R型ライカのレンズなどと比べると、コントラストが低くなるのが玉にきずです。でも、見た目に美しい塗装で、レンズもとても綺麗。当時、大阪の危険な中古店で12万円もの大金を出して無理して買いましたが、今では3万円ほどで買えてしまいます。

SEKOR A300mm F2.8APO
このレンズはマミヤMamiyaM645レンズとは思えないくらいシャープに写ります。解像力も素晴らしいです。ただ解像力では、R型ライカのアポテリートR280mmf4と比べると、さすがに負けます。それにしても、値段もさることながら重いレンズで、僕には使いこなせませんでした。

マミヤMamiyaM645レンズを買うときの注意点
以上、いくつかのマミヤレンズの批評と共に書いてきましたが、マミヤなど国産のレンズを買う場合、できるだけ新しいレンズを買うことをお勧めしたいと思います。

というのは、マミヤなど国産のレンズはどうも耐用年数の低いガラス材をレンズに使っているようで、すぐに透過率が落ちてきたり、色バランスが黄色に偏るなどの症状がでているレンズが多いようです。

しかも、マミヤM645用のレンズの弱点ですが、バヨネットマウントの材質が極めて弱く、すぐにギタギタになることです。つまり、レンズもマウントも長年の使用に耐えられるように考えて作られていないと、思います。
こうした点は、ハッセルやライカのレンズとは雲泥の差であります。

従って、マミヤM645のレンズを使う場合には、ヘリコイドのゴムの形状により新旧を区別できますから、特別な事情がない限り、新しいタイプのレンズを購入するべきです。
 シリアル番号の新しいものが当然良いのですが、それまで使ってきた人が紫外線のもとに長時間さらしてきたようなレンズはほとんどガラスが劣化しているので、こういったレンズは避けるべきなのですが、実際には運を天に任せるしかないようです。
マミヤMamiyaM6451000s まとめ
以上、マミヤM6451000sについて、書いてみました。
ぼくはこのカメラ一筋で使って来て、今のM645で8台目になってしまいました。
いくら安いカメラとはいえ、当時はまだまだお金もなく、妻にも苦しい思いをさせました。

ぼくは、普通よりは物を大切にする方なのですが、
それでも、マミヤはコタコタになっていきました。

それで、妻には、ボロのマミヤが似合っている!とも言われました。

15年の間に
マミヤM645で10万枚の撮影しました。

その間は
撮影機材にお金をかけることは無駄なこと、
という思いが強く、
撮影機材にお金をかけるよりも、
ポストカードを一枚でも多く作りたいという気持ちが大きかったです。

しかし、ポストカードなどの制作に余裕が出てくると
マミヤM645全体に問題を感じたというよりも
憧れだったハッセルブラッドに撮影全体を移行しようとしました。

マミヤM645が決して悪い、と思ったのではなく
その時は、ハッセルブラッドへのひたすらな憧れからでした。

そうしたハッセルブラッドへ撮影システム全体を移行した結果、
得たことも大きかったですが、
細かなことですが、失ったことも多々ありました。

自分のニーズを完全に満たせる撮影システム。
そのことはいまなお模索の途上にあるわけですが、

今なお見いだせないのが現実というところでしょうか。