の四季
暗室の製作 5月7日
 今日は屋根の雨よけの縁取りをして、それを“春のやまぶき色”と慶ちゃんが称する色彩で塗っていく。
彼女は本当はもう少し赤の入らない色、すなわちもっと明るい黄色で塗りたかったそうであるが、
僕が赤の入った黄色が好みであることに配慮して、赤を少し加えた色で塗っている。
輝かしい春の日差しの中での暗室の外装のペンキ塗り。
八重桜はほぼ満開となったが、残念なのは未だに暗室のが完成しないこと。
今日、松前半島の木古内町のとっとこ村の水谷夫人が来て、
木古内ではまだ桜は咲いていないとのこと。
なんだかそう言う話を聞くとホッとする。
ところが一方、丘のうえの小さな写真館の周りではもうすでに八重桜が満開である。どうも今年は八重桜の開花も早い。いつもならライラック(リラ)の花時期ともっと重なって良いのだけれど、今年は八重桜が単独で咲いている。
 この草むらを見て、人はなんと思うだろうか。
僕は宝箱と思う。
草と花がある秩序に従って生えている。
その秩序を発見しながら
その美しさに感動しながら
写すことは、そこには無限の楽しみがある。

しかし、こうした草むらを見ると、
草ぼうぼうで汚らしい!と思う人種が確かにいる。
また、蛇など人間に危害を加えるものが棲むから草むらはダメだという人もいる。

また、草むらを放置していると
火をつけられるから、と無茶苦茶を言う人がいる。

また、草むらがあると蚊が出ると本気で思っている人もいる。
(蚊は水たまりがあれば生まれ、
草むらがないと棲むところがなく、
夜になると、幽霊のように漂うのだ。)

こうして僕は北海道に来て
草むらのことを良く言う人に出会ったことがない。

皆等しく子供の頃は
クローバーの花の蜜を飲み、
たんぽぽで花飾りを造り…と言う。

しかし、大人らしい人は
そんなことをもう口にしない。
彼らはいつ大人らしい人に変わるのだろうか。
満開の桜とほぼ完成した暗室の外観。
これに急きょ丘のうえの小さな写真館の看板を取り付けて、写してみる。
昨日、ドアの色をお楽しみと言いましたが、
今日はドアのヤスリかけ、隙間埋めで終わり
明日の朝から塗装を開始する予定でいます。
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